W杯記者が口々に「ロシアは最高」と言うワケ

ロシアについての先入観は忘れよう

ここにある豪華な新スタジアムは、青と白のカラーリングで水と風をイメージさせる。ジャーナリスト向けの設備も完璧だ。高速インターネット接続に広々としたデスク、映像再生用のモニター、ピッチはよく見えるし、人混みを抜けて素早く移動できる専用のシャトルバスも用意されている。

街中では、地元市民たちが、パナマから韓国に至る各国から訪れた大勢のファンと、歌い踊り、セルフィーを撮っている。スマホの通訳アプリを利用して会話が弾んでいることも多い。

「ロシアについての先入観は忘れよう」

ロシア代表が別の都市で試合を行っているときは、地元市民は街に繰り出し、歌を歌い、ファンゾーンに詰めかけた。2014年のブラジル大会や、2010年の南アフリカ大会で筆者が目にした光景よりも、さらに熱狂的な愛国心が現れていた。

懸念されていたイングランドのフーリガンも杞憂に終わった。

むしろイングランドファンは、カフェや大通りで応援旗を掲げ、ロシア人と一緒に行儀よくパーティに興じていた。警察官は控えめに路地で待機し、訓練で想定していたトラブル解消のために駆り出されることはなかった。

胃にもたれ、味気ないとばかにされることもある食べ物も、好評を博していた。特に、どこにでもあるカツレツやスモーキーな香りのアメリカンコーヒー、驚くほど安価なシベリア産キャビアはよかった。

「ロシアについてこれまで読んできた、あるいは思っていたことはすべて忘れよう。非常に素晴らしい国だ。ロシアに来るのを避けた人が多いのは非常に残念だ」──。イングランドファンのチャーリー・カーラインさん(33)は、2本の大河を見下ろす丘の上、ニジニ・ノブゴロドの「クレムリン」城の脇に設けられた陽光溢れるファンゾーンでビールをあおりながら、そう語った。

カーラインさんの友人たちは、過去のW杯にも足を運んでいたが、今回は国に残ることにしたという。2016年欧州選手権の際にフランスで起きたようなロシアとイングランドのファンによる暴力的な衝突や、両国の政治的な関係悪化に伴う敵意を懸念したためだ。

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