高齢化のリアル、秋田に見る「日本の未来図」 秋田県は2040年の日本の人口構成を先取り
夜になると、秋田駅前の大通りも人影はまばらになる。デパートの前の看板は「週末は、夜もゆっくりお買い物」と宣伝しているが、閉店は午後7時半だ。
2017年の秋田県の死亡者数は、人口1000人当たり15.5人。死亡率は全国で最高となっている。出生率は同5.4人で全国最低。
行政サービスの仕事に従事する三浦史佳氏は、街の様子について「変わりました。葬祭会館が増えましたね。以前はそんなになかったんですけど、昔あったビルが新しくなって、何かなと思っていると葬儀場になっている」と語る。
介護の仕事をする人が足りない
労働力不足は全国的な問題だが、特に秋田では介護の仕事をする人が足りず、増大する介護サービスの需要を満たすことが困難になっている。
秋田認知症介護支援センター「ふきのとう」の沼谷純理事によると、介護士がいないため、3つあった施設の1つで、昨年営業を停止せざるをえなくなった。同理事は「お客さんはいるけど、お客さんを入れられない。働く人がいないから。働き手不足、労働力不足による閉鎖、休止というのが今の介護業界では実際に起きている」と話す。
県議会議員でもある沼谷氏は、秋田など地方で起きている問題は、いずれ東京にも直接、影響していくと指摘する。「地方で子供が生まれ育ち、その子供たちが東京に行き、生産をして、消費をし、経済をつくる。それが、戦後の経済成長期から続くモデルだった。でも今地方には、子供を供給する力がなくなってきている」、「地方が成り立たなくなって来ると、東京も当然成り立たなくなる」。