「生前葬」が一般人にはおよそ無縁すぎるワケ 日本で話題になっても普及しない根本的理由
生前葬を行った人物が亡くなった後、もしその家族に信仰がある場合は、その宗教の形式でお葬式を再度行うケースが多数を占めます。生前葬を開催した安崎氏が亡くなった後も、近親者のみでの葬儀が催されました。
儀式を2回行うわけですから、費用もかさみます。「日本の葬儀費用は高すぎる」と言われる中、わざわざおカネも手間もかかる生前葬を催す人は少ないでしょう。ちなみに葬儀業界大手の会社のホームページでは、「生前葬の費用事例」を約54万~約116万円と紹介しています。
2.参加者を集めるのが難しい
お葬式の参列者は近年、減少傾向にあります。その理由は日本人の高齢化や、引退した後の人間関係の希薄化、高齢者の体力の低下などがあげられます。
一般人が生前葬を行う場合も同じことが言えます。たとえ声を掛けても、はたして参加してくれるかどうかわかりません。また、生前葬はまだ多くの日本人にとってなじみの薄い行事のため、招待したとしても冗談ととらえられる可能性もあります。
芸能人や会社の元社長などであれば、心配ないでしょうが、一般の人が生前葬を行う場合、集客面でかなり苦戦することが予想されます。
男性は「自分の死」について考えることを嫌う傾向
3.生前葬を催す度胸がない
最近は自分自身のお葬式の事前相談にいらっしゃる人も増えています。その男女比率は、男性が3割、女性が7割程度。性差による偏りがある原因ははっきりしません。しかし相談内容を聞いてみると、女性に比べて、なぜか男性は「自分の死」について考えることをとても嫌う傾向があります。
実際、「自分はエンディングノートを書いたりして終活を楽しんでいるのだけど、夫はすごく嫌がっていて。サラリーマン時代はあんなに仕事は準備と段取りが大切ってうるさい人だったのに」とおっしゃる奥様の声も良く聞きます。
自分のお葬式のことすら考えるのがイヤな男性が、わざわざ生前葬をしたいとは思えません。
冒頭で紹介した安崎氏の場合、死期を悟ったうえで、生前葬という粋な人生の幕の引き方をしました。彼の生前葬が耳目を集めたのも、自分には到底まねできないことをやりきったことへの羨望もあるかもしれません。
以上のように生前葬とは、「費用」や「集客」「度胸」の問題をクリアした人のみが行えるものです。生前葬を行うのが有名な芸能人に集中するのも納得できます。
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