「見えない財産」に無頓着な人の残念な思考 メルカリが変えた「おカネのルール」

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1000万円の高級車が3年後に700万円で売れるケースと、500万円の車が3年後に200万円で売れるケースがあったとき、コストがどちらも300万円であれば、1000万円の高級車を手に入れるという選択もできます。

フェラーリやマセラティのような高級車の場合、もしかしたら数年後には価値が上がっていることもあります。次から次へと車を買い替えている人の中には、こうした計算をしっかりとした上で行っている人も多いのです。

さらに金額が大きな不動産を買う際にも、この考え方は応用できます。不動産を購入する際、「駅近を買え」とよく言いますが、それは駅近物件が値下がりしにくいからです。こういう考え方を身に付けておくと、スマホや貴金属など、あらゆるモノを買うときにいろいろと考えてから購入するようになるでしょう。

本当に「新品」を買う必要があるのか?

ぜひ何かを買う際には、そのモノが売却可能資産になり得るか考えてみてください。これを習慣付けられたら、その次は「新品を買うのではなくて、中古とかレンタルじゃダメなの?」という発想を働かせます。このように選択の幅を持たせてみるのです。

法人においても、PCを1台1台購入しているところとリース(レンタル)しているところの両方があります。前者であれば、資産計上し、徐々に減価償却をしていきます。

法人はB/S(貸借対照表)をなるべく身軽にしておきたいので、なるべくモノの所有を減らしたいと考えます。そのため、実際には最後まで使い切るなら購入してしまったほうが安いのが実情ではありますが、リースができるのであれば、そちらを選択することで身軽さを保つなどの方法を考えるわけです。

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バブル崩壊後や金融危機の際に、たくさん不動産を保有している法人が倒産に追い込まれたように、資産を抱えすぎることは、変化に対して弱くなるというリスクがあります。

また、不動産もそうですが、基本的に新品には“プレミアム”が付いていると考えていいでしょう。したがって、購入して使っていない、ほぼ新品の状態でも1~2割は値段が下がるのが現実です。新品は、大量の広告宣伝費、モデルハウス、店舗、営業人員などの販促費や人件費などが乗った価格だと考えるとわかりやすいかもしれません。

このように、新品を買うのでなく、中古またはレンタルが勝る理由はいくらでもあるのです。

もちろん、買い物にはいろいろな意味が込められており、そのモノを所有すること自体が自信や癒しにつながることもあります。人によっては、「フェラーリを所有している」という事実が、やる気を奮い立たせる原動力になっていることも考えられます。

ただ、仮に新車を買うとなれば、100万円単位のおカネが必要になります。自動車の購入を検討する際には、本当に買うべきなのか、それともレンタルや中古ではダメなのかをじっくりと考えてみるといいでしょう。

冨田 和成 ZUU代表取締役

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とみた かずまさ / Kazumasa Tomita

神奈川県出身。一橋大学在学中にIT分野で起業。2006年大学卒業後、野村證券株式会社に入社。本社の富裕層向けプライベートバンキング業務、ASEAN地域の経営戦略担当等に従事。2013年3月に野村證券を退職。同年4月に株式会社ZUUを設立し代表取締役に就任。金融経済メディア「ZUU online」を含む資産運用の総合プラットフォーム運営、月間訪問者数は650万人を超える。金融機関や不動産業界のフィンテック化の推進支援や企業に対して鬼速PDCAシステムを導入する鬼速PDCAエンジニアリング事業を展開。監査法人トーマツ主催「日本テクノロジー Fast50」にて2年連続上位受賞(2016年度日本1位・アジア太平洋地域8位、2017年度日本3位)。2018年6月、設立約5年で東京証券取引所マザーズ市場に上場。著書に『大富豪が実践しているお金の哲学』『鬼速PDCA』『営業 野村證券伝説の営業マンの「仮説思考」とノウハウのすべて』(クロスメディア・パブリッシング)、『プライベートバンクは、富裕層に何を教えているのか?』(ダイヤモンド社)、『稼ぐ人が実践しているお金のPDCA』(KADOKAWA)など。
ZUUonline:https://zuuonline.com
DAILYANDS:https://daily-ands.jp/

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