三菱UFJと三井住友、キャッシュレス決済へ NTTデータと競合も
この専用ネットワークの運営と、決済情報のやり取りを担っているのがNTTデータが運用する「Cafis」というオンラインシステム。日本では、クレジットカード大手のJCBが独自のオンラインシステムを持っているものの、他のクレジットカードはCafisに依存して決済情報を処理しているのが実態だ。
あるカード発行会社の幹部は「NTTデータが事実上、カード決済インフラを独占していると言っていい。まさに業界の巨人」という。
巨人・NTTデータと競合も
しかし、クレジットカード業界にはCafisに対する不満があるのも事実。「品質や安全性には優れている」(先のカード発行会社幹部)との評価もある一方で、「新しいサービス導入のスピードが遅い」(同)などの声もある。
さらにNTTデータは「1件当たりの利用手数料は決して高くない」(担当者)とするが、手数料が重荷になっているとの指摘もある。
三井住友はここに目を付け、これまでCafisに頼っていた決済情報処理をグループ内に取り込むことを狙う。「脱NTTデータ」を進め、決済事務を「垂直統合」することで、これまで同社に支払っていた手数料を削減するとともに、より迅速で柔軟な決済の仕組みづくりを目指す。
一方、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は5月、インターネットの高速配信事業を世界展開する米アカマイ・テクノロジーズと共同で、新型ブロックチェーン(分散台帳技術)を活用した高速で安価な決済システムを開発したと発表した。
MUFGの新決済システムでは、現在毎秒10万件弱にとどまる決済処理を100万件以上に高めることが可能という。コンビニなどでもキャッシュレス決済が普及していることもあり、1件当たりの決済金額は小額化が進み、決済手数料の重みが相対的に増している。「決済コストの削減に大きく寄与する」(広報部)という。
MUFGは19年度以降に、決済インフラ事業としてサービスを始める。ただ「NTTデータと競合することはない。NTTデータに使ってもらえるようなサービスを考えたい」(広報部)としている。
(布施太郎 編集:田巻一彦)
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