夫47歳・妻27歳のあまりにも円満な結婚生活 「世代間ギャップなんて、そもそもない」
ただ、雅之さんの「オッサンならではの経験」が活かされるケースはもちろんあるようで、例えばこんなことがあったという。
由那さん「私が苦労している時に一緒に走ってくれるのはありがたいです。特に転職活動のときは、彼の励ましやアドバイスが本当に力になりました」。
雅之さん「といっても、彼女が面接で話そうとしている内容をひと通り聞かせてもらって、面接官にウケが良さそうな部分をピックアップしただけなんですけどね。面接官って大体オッサンなので、そのへんのツボは僕のほうが分かるじゃないですか」。
由那さん「それに、面接に限らず人との関わり方のコツみたいなものだったり、教わることは多いです。例えば、先輩に対しても繕わないで正直に振舞ったほうがかえって信頼されるよとか」。
雅之さん「まあ、彼女にとっての先輩だって、僕よりは年下なんですよ。そう考えたら、彼女だっていくらか気楽にふるまえると思うんですよね」。
彼女が80歳になるまでは生きたい
しかし、もちろん心配ごともある。特に、雅之さんの健康面だ。
雅之さん「付き合い始めて3年目くらいに、ふたりで生命保険の契約に行ったんですよ。その帰りに彼女、泣いたんです。彼女が80歳になったとき、僕が生きているのか想像したみたいで。色んな話を聞いているうちに、僕が生きていない状況をリアルに想像しちゃったんですね」。
それまで年齢差を意識せずに暮らしてきたからこそ、由那さんにとってはショックだったようだ。そこで雅之さん、一念発起する。
雅之さん「まあ、現実的に僕が先に逝く可能性は高いわけですが、なるべく長く生きなきゃと思った。由那ちゃんが80歳まで生きるなら、僕は100歳まで。20年くらい長く生きられたらオッケーかなと。彼女をがっかりさせたくないから、健康への意識はけっこう変わったと思います」。
普通のアラフィフが、20代の女性と結婚する。同年代の男性からすれば、夢のような話かもしれない。しかし、杠夫妻にそんな気負いやてらいはない。年上だから、若いから、そういう物差しではなくひとりの人間として互いを尊重している。取材前に抱いていた年の差夫婦に対する先入観を打ち壊す、「普通の夫婦」がそこにはいた。
(取材・文/榎並紀行(やじろべえ))
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら