エイベックス、役員人事で示した次の成長軸 「安室・小室」の引退が象徴する業界の転換期

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

やっと業績が改善したのが前2018年3月期だ。売上高は1633億円(前期比1.1%増)、営業利益は69億円(同21.1%増)と5期ぶりの営業増益で着地した。

歌手の安室奈美恵さんの引退発表に合わせて、2017年11月に発売したベスト盤CD『Finally』が238万枚という大ヒットを記録。この「特需」に加え、BIGBANGや東方神起など人気アーティストの大型公演による集客増、赤字体質となっていた定額動画配信サービス「ゲオチャンネル」や「UULA」サービス終了による費用減もあった。

しかし、構造的な課題がすべて解決したわけではない。

「会社の寿命は10年というつもりでやってきたが、いつのまにか30年が経ってしまった」(松浦社長)という、エイベックスも環境の変化へ対応を迫られている。

松浦会長は新規事業を担当

今回の人事では、既存事業のマネジメントや管理部門を社長に昇格する黒岩氏やCFOの林氏に任せ、松浦社長は自身が「もっとも得意な分野」というクリエイティブやプロデュースに集中する体制を構築。大きく変化する時代に合った新しいアーティストの発掘や育成、そして今後の成長を牽引する新規事業を担当することになった。

左から黒岩克巳新社長、松浦勝人新会長、林真司新CFO(記者撮影)

さらに松浦新会長直轄で、新事業やイノベーションの創出、そして戦略的投資やM&Aを担う本部を新設。VR(仮想現実)、ロボット、ファッションといった、さまざまな分野のスタートアップに出資実績を持つ社内ベンチャーキャピタル、エイベックス・ベンチャーズもこの本部に吸収合併された。

次ページ積極的に新事業を展開
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事