山口達也とジャニーズ事務所の甘すぎる姿勢 強制わいせつ「謝罪会見」対応は適切だったか

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当然ながら、お酒は免罪符になりません。タレントだけでなくビジネスパーソンも、プライベートも含めた日ごろのセルフマネジメントが問われる時代になっているのです。

冒頭に「つい最近まで知らなかった」

一方、ジャニーズ事務所の対応にも、疑問を抱かざるをえない点がありました。

ジャニーズ事務所がコメントを出したのは、NHKが報じたあとであり、自らの発信ではありません。しかもその内容は、「お酒を飲んで、被害者の方のお気持ちを考えずにキスをしてしまいましたことを本当に申し訳なく思っております。被害者の方には誠心誠意謝罪し、和解させていただきました」というものでした。

発信のタイミングに加えて、メンバーのコメントよりも短いところに、あわてて出したような印象があふれています。また、わざわざ「キス」と限定して憶測を防ぎ、すでに「和解」済みであることを強調。「ダメージコントロールしたい」という気持ちは理解できるものの、その文面はあまりに露骨すぎたのです。

被害者が訴えを取り下げたとしても、「警視庁が書類送検した」ことに変わりはありません。「事件から2カ月以上が過ぎ、和解が成立したタイミングでNHKが報じた」「その間も山口メンバーは多くの番組に出演していた」などの不可解な点もあるだけに、「認識が甘すぎる」と事務所もダメージを受けてしまったのです。

初期対応のまずさだけでなく、会見でも疑問を抱く点がありました。

冒頭、顧問弁護士が、「会社が知ったのは“つい最近”のことでした。本来であればもっと早くみなさまにお詫び、ご報告しなければならないことが多々あったわけでしたが、本日に至ったことを“私からお詫びしたい”と思っております。申し訳ございませんでした」と謝罪。これらのフレーズに違和感を抱いた人が多かったのです。

その理由は、真っ先に「つい最近知ったから2カ月以上すぎてしまった」という言い訳を話し、マネジメントをする自分たちではなく、弁護士に謝罪させたから。弁護士の同席は当然ですが、一般企業なら経営者か担当部署のトップが同席し、頭を下げていたでしょう。しかし、ジャニーズ事務所は隠れてしまったことで、企業側としての謝罪姿勢はまったく伝わってきませんでした。

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