VW「ポロ」8年ぶり刷新で見せた進化の本質 コンパクトハッチとしては集大成の出来だ

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排気量は小さくなったが、最高出力、最大トルクともにわずかに向上している(写真:フォルクスワーゲン日本)

エンジンは旧型の1.2リッター直4ターボから新型では1.0リッター直3ターボとなった。排気量は小さくなったが、最高出力、最大トルクともにわずかに向上している。体感的な力強さは必要にして十分、速くもなければ遅くもないといったところ。7速DSG(デュアルクラッチ・トランスミッション)がショックなく細かく変速し、エンジンの回転数をパワーがあるゾーンにとどめてくれている印象だ。

JC08モード燃費は19.1km/Lと先代の22.2km/Lから一歩後退した。追って1.5リッターターボエンジン搭載車やスポーティなGTIの追加も予定されているようだ。MQBを用いたモデルは、大きかろうと小さかろうと、SUVだろうとミニバンだろうとハッチバックだろうと、乗り心地とハンドリングの特性は現行ゴルフに準じるかたちとなる。すなわち乗り心地は速度を問わず快適で、ハンドリングは正確で安定志向に終始するのだ。コンパクトな分、軽快感ではわずかにゴルフを上回る。

あるのはサイズや姿かたちの違いだけ

一方、他社の場合もそうだが、こうしたどれもよく似る傾向はモジュラー式プラットフォーム採用のよい部分であり、つまらない部分とも言える。あるのはサイズや姿かたちの違いだけで、乗り味はほぼ同じであることが乗る前から想像できてしまう。とはいえ、ゴルフとポロを両方買う人は少ないだろうから問題ないのかもしれない。

コンパクトハッチとしてほぼ集大成に近い仕上がりの新型ポロ(写真:フォルクスワーゲン日本)

安全装備は標準かオプションかの違いはあれど、ひととおり最新のものが用意されている。試乗した上級グレードのハイライン(265万円)ならほぼ標準装備。新型ポロは”新鮮味”や“未来につながる何か”によってびっくりさせてくれるわけではないが、剛性の高さを感じさせるボディ、素直なハンドリング、乗り心地のよさ、小排気量にもかかわらず必要十分なパワーを発揮するエンジンなど、今日的な価値観で言えば、コンパクトハッチとしてほぼ集大成に近い出来のよさだと思う。

塩見 智 ライター、エディター

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しおみ さとし / Satoshi Shiomi

1972年岡山県生まれ。関西学院大学卒業後、山陽新聞社、『ベストカー』編集部、『NAVI』編集部を経て、フリーランスのエディター/ライターへ。専門的で堅苦しく難しいテーマをできるだけ平易に面白く表現することを信条とする。自動車専門誌、ライフスタイル誌、ウェブサイトなど、さまざまなメディアへ寄稿中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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