そして、雪道での走行を踏まえるなら3つ目の要素である電動化が進んだモデルを選ぶ意識を持つのも良いだろう。なぜならモーターを使った運動能力は、エンジンでは到達できない領域にあるからだ。
その源は、反応速度。ドライバーがアクセルを踏む・戻す操作に、加減速が即座に反応する。これが運転をとてもしやすくなるのに加えて、ドライバー以上に緻密に運転指令を出す前述した電脳制御指令に対してモーターは瞬時に対応できる。たとえばコンマ数秒先に車両が不安定になるから駆動力を絞れと指令を出しても、アクセル操作に対して燃料を噴射するタイムラグがあるエンジンのレスポンスでは結果不安定になるケースがあるということ。もちろんモーターも万能ではないが、このレスポンスの良さがあるかぎり、運動性能は高まるし、限界性能も高められる。
それをモデルごとに最適に搭載して電動化による高性能化を進めるべく、ホンダは3つの異なる形式のハイブリッドシステムを作り展開している。具体的にはフィットなどのコンパクト系に向けた1つの電動モーターを使った「i-DCD」と、ステップワゴンやアコードなどのミドル系に向けた2つの電動モーターを使う「i-MMD」そしてレジェンドやNSXなど高性能を追求して3つの電動モーターを駆使する「SH-AWD」がある。
技術進化の速さを改めて認識
今回の中では登場間近のCR-Vと2月にマイナーチェンジしたばかりのレジェンド、そしてこれまたマイナーチェンジして足回りがより柔軟に懐深く動くようになり路面を的確に捕まえるようになったi-DCD搭載のヴェゼルの走行性能がとても優れており、最新モデルの良さとともに技術進化の速さを改めて認識させられた試乗会だった。
運動性能や限界性能、素直に曲がるなどの領域は当別なものではない。特に雪道を走る人は絶対だ。なぜなら雪道では容易に誰もがタイヤが滑るなどの極限を体験する。それはタイヤの限界、クルマの限界を超えている証拠。言うなれば、ドライ路面であれば非日常の走りであり一般道においては危険極まりないタイヤを滑らすという行為を、冬季路面では意図せずとはいえ起きておりタイヤとクルマの性能を使い切ってしまっているからだ。
雪も融け出し、冬季路面の怖さが記憶から薄らいでいく時期になるが、それを踏まえたクルマ選びをぜひ。
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