安倍首相vs朝日、「書き換え疑惑」で最終決戦 財務省決裁文書は1強政権の時限爆弾か?
もちろん、財務省が部分的なミスを認めた場合でも「首相の責任論に直結するわけではない」(政府筋)のが実情だ。太田充財務省理財局長が国会で、当該文書決裁の責任者が近畿財務局の管財部次長だと答弁したことで「財務省はトカゲのしっぽ切りで逃げるつもりだ」(民進党)との観測も広がる。ただ、財務省が朝日報道の一部でも認めた場合、「担当者の処分だけでは済まない」(立憲民主党)のも間違いない。疑惑が浮上して以来の財務省の説明は二転三転しており、「もし事実なら由々しき事態」と繰り返してきた麻生財務相も責任を問われ、安倍政権への大打撃となる事態が想定される。
いずれにしても、8日に財務省が提出する森友関連決裁文書のコピーや説明内容次第で、その後の展開が変わってくる。ただ、財務省は7日の野党のヒアリングに対し、8日提出予定のコピーの内容は「国会に提出済みのものと同じ」と説明しており、それでは疑惑払拭につながりそうもない。その場合、野党側は「またもゼロ回答」と反発し、国会審議も混乱が続く可能性が大きい。
首相は7日夜、赤坂の料理屋に二階氏を招き、食事をともにしながら約2時間にわたり会談した。内容は明らかにされていないが、関係者によると決裁文書の「書き換え」疑惑への対応も含め、9月の総裁選までの政権運営について突っ込んだ話し合いがあったとみられている。
首相にとって2日の朝日報道からの国会混乱は「想定外の事態」(側近)だったとされる。しかし首相は、政権幹部らとの鳩首協議などは避け、3日の土曜日午後は行きつけの都内のホテルのジムで長時間を過ごした。さらに4日の日曜日は自宅近くの代々木公園をゆっくり散歩し、咲き誇る紅梅の写真をインターネットに投稿することなどで、余裕の表情をアピールした。
その一方で、事態が一段と深刻化した6日には、平昌五輪から続く韓国と北朝鮮の「融和外交」の成果として、両国が4月末の南北首脳会談開催で合意するという「国際的ビッグニュース」が伝えられ、各メディアの「書き換え疑惑」についての報道が片隅に押しやられるという「首相にとっての幸運」(自民幹部)もあった。
まだ読めない「6カ月後」の総裁3選
ただ、首相にとっても「事態の早期収拾による政権危機の回避」(政府筋)は簡単ではない。森友問題の捜査が続く限り、昭恵夫人の国会招致の問題も含めた国会での野党の攻撃は続き、「少しでも対応を誤れば、働き方改革関連法案の今国会成立も危うくなり、首相の自民党総裁3選にも黄信号が灯る」(自民長老)ことにもなりかねない。
永田町には「政界一寸先は闇」との格言がある。一昔前の自民党実力者の中で「稀代の寝業師」と呼ばれた故川島正二郎元副総裁の言葉で、同氏自身が知人に「一寸先も読めないような人物は政治家ではなく、少なくとも6カ月先まで読めなければ政治家とはいえない」と解説したとされる。現時点で首相が3選を目指す自民総裁選はちょうど6カ月後となる。故川島氏が指摘したように、首相にとって「まず『一寸先の闇』を乗り越えないと、6カ月後まで読むことはできない」(自民幹部)というのが実情で、今後の国会運営の不透明な状況が続くことは間違いなさそうだ。
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