パナソニックが社外で「新規事業」を作るワケ 合弁会社トップには春田真DeNA前会長

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スクラムベンチャーズは、創設者でぜネラルパートナーの宮田拓弥氏が2013年、シリコンバレーに設立したベンチャー投資会社。日本のベンチャー投資会社の多くが金融系なのに対し、宮田氏は日米でソフトウエア、サービス、ハードウエアのスタートアップを複数立ち上げ、成功させてきた実績がある。

スクラムベンチャーズ設立後は、シリコンバレーのスタートアップコミュニティに根をおろし、米スタートアップにアーリーステージから投資している例が多い。BeeEdge社長となる春田氏も、出身こそ金融機関ではあるが、2000年にDeNAに入社後、球団を保有する大企業になるまで育て上げてきた実務派だ。

パナソニックは2015年にアプライアンス社トップに本間氏が就任以来、社長直下のプロジェクトとして社内ベンチャー育成、イノベーション創出のプロジェクトに力を入れてきた。BeeEdge取締役にも名を連ねる深田氏が創設した社内イノベーションプロジェクト「Game Changer Catapult(GCC)」もそのひとつだ。

それまでの社内ベンチャープロジェクトは単なるアイデアコンテストとなってしまい、製品実装にまで至っていなかった。そこでGCCでは、本間社長がホストとなって審査を通過したプロジェクトに予算を提供。米オースティンで開催されているSXSW(サウスバイサウスウエスト)に製品展示を行うところまでを保証した。

しかし、SXSWへの展示にはこぎ着けるものの製品化に至る事例は作れていない。縦割り構造の事業部では、事業化に必要な予算、社内リソースを確保しようという引き取り手がないためだ。また“パナソニック”ロゴを付けた製品に、一定以上の事業規模が求められるといった大企業ならではの制約も大きい。

パナソニック製品として発売するわけではない

BeeEdgeが投資する案件は製品化は行うが、パナソニック製品として発売するわけではない。完全に新しいハードウエアスタートアップが作る製品として市場に出すことを目指す。

BeeEdge社長に就任する春田真氏(筆者撮影)

BeeEdgeの春田社長によると、BeeEdgeが投資する案件ではファウンダーとなる発案者に“休職”してもらい、新規事業会社に移籍。プロジェクトに参加するエンジニアなどはパナソニックからの派遣扱いとするなど「パナソニックの人ではなく新規事業会社のオーナーとして移籍してもらうことが基本」と話す。

完全にパナソニックから籍が抜けるわけではないが、限りなく独立に近いものになるよう人事面でのルールづくりをパナソニックと行っているという。

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