「電車のデザイン」色のラインは窓下から上へ 見た目だけではなく別の理由もある

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山手線の新型車両E235系(撮影:風間仁一郎)

窓上ライン以外の方法で、ホームドアがあっても目立つデザインとしている車両もある。山手線の新型車両E235系は、横一線にラインカラーを引いていないデザインだ。側面は、ドアの上部とドアの部分に黄緑色のステッカーが貼られているだけである。

だが、外から見て山手線の車両であることはすぐにわかり、駅でドアが開いているときでもドア上の黄緑色が車両の存在感とドアの位置を示している。E235系のデザインは、最低限の色しかついていないが、それでも山手線の電車であることを利用者に示すことができている。

東急2020系とすれ違う東武50050型(右)。戸袋にオレンジ色を配している(撮影:山内信也)

ドア横の戸袋部分に色をつけ、利用者にアピールしている車両もある。東武鉄道の東上線やスカイツリーライン(伊勢崎線)・日光線を走る50000型・50050型・50070型だ。ドア横のみがオレンジ色になっており、乗り入れ先でもひと目見ただけで東武の車両が来たとわかるようになっている。

「窓上ライン」は今後も増える?

ホームドアのある路線でも、東京メトロ南北線では透明なフルスクリーンタイプのドアを採用しており、窓下のラインカラーを確認することができる。だが、現在主流となっているホームドアは、腰の高さまでの可動式ホーム柵と呼ばれるタイプだ。1路線だけならともかく、複数の路線が同じホームに乗り入れる場合などは、車両の見分けがつくことは重要だ。ホームドアの設置が進む中、見えにくい車体の下半分よりも上半分に重きを置いたデザインの車両は、今後も増えていくことだろう。

東京メトロ日比谷線13000系は、窓上のラインと車いす・ベビーカー用スペースの表示をデザイン的に組み合わせている(撮影:尾形文繁)

最近では、窓上のラインに合わせて車いすスペースなどの情報をわかりやすく表示した車両も現れている。東京メトロ日比谷線の新型車両13000系、同線に乗り入れる東武鉄道の70000系は、車いす・ベビーカーのマークと窓上のラインを組み合わせており、視認性の面でも優れている。デザインのパターンも進化してきている。

列車のカラーリングは、どの路線かを示すためにも大事なものである。車体の素材や駅施設など、列車を取り巻く状況は変わっても、わかりやすさを保つ姿勢だけは今後も変えないでほしい。

小林 拓矢 フリーライター

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こばやし たくや / Takuya Kobayashi

1979年山梨県甲府市生まれ。早稲田大学卒。在学時は鉄道研究会に在籍。鉄道・時事その他について執筆。著書は『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。また ニッポン鉄道旅行研究会『週末鉄道旅行』(宝島社新書)に執筆参加。

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