米国政府閉鎖の危機、収束でも年内燻り続ける みずほ総合研究所シニアエコノミスト・小野亮氏に聞く

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――暫定予算案が通ったとしても、さらに債務上限の問題が控えています。

10月17日に連邦政府のやり繰りが出来なくなることをルー財務長官が明らかにしている。債務上限を外さないと、暫定予算が決まっても支出できない。政府短期証券の利回りはすでにこれを反映して、10月中旬以降の償還のものが0.08%程度上昇し始めている。9月にはマイナス金利だったものだ。政府短期証券は現金とほぼ同等とみなされていたが、市場が選択的デフォルトを意識し始めて金利がついている。11年に債務上限問題がクローズアップされたときには、0.3%まで金利がついた。

私の見通しとしては、政府機関の閉鎖を招いたという批判を避けるために、暫定予算のほうでは共和党が折れて、債務上限問題のほうでは民主党が妥協してオバマケアの導入の1年延期を認めるのではないか、と見ている。オバマケアは景気には下押し圧力になると思っている民主党員もいるからだ。

債務上限問題は引き上げで決着すれば選挙が終わるまで時間的猶予が出来る。しかし、暫定予算の問題は、前述のように、クリスマス休暇前まで燻り続けることになる。FRBがQE3(大規模証券購入による金融緩和策)をどうするかという金融政策の動向と合わせて、金融市場を揺さぶることになるだろう。
 

東洋経済オンライン編集部

ベテランから若手まで個性的な部員がそろう編集部。編集作業が中心だが、もちろん取材もこなします(画像はイメージです)

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