ストライキが単に「迷惑」と言い切れない理由

憲法で労働三権が保障されている意味

それは、長い歴史の中でさまざまな出来事を通じて、労働組合の役割、ストライキの意義が結晶化されて、ようやく権利として承認されてきたものであることを意味する。

もともと、労働組合は国家権力から敵視されがちで、労働組合の結成そのものが犯罪として処罰される時代もあった(イギリスでは共謀罪が労働組合処罰のために用いられていたという歴史もある)。

その後紆余曲折を経て、労働組合を結成する権利(団結権)、労働組合が団体交渉をする権利(団体交渉権)、労働組合がストライキをする権利(団体行動権)も憲法上保障されるに至ったのである。

公共交通機関の場合がわかりやすいが、ストライキは、多くの一般市民、利用者にとっては「迷惑なもの」であることは間違いない。かつては現在のJRである国鉄が1975年に8日間にわたるストライキを実施して大混乱に陥ったこともあった。

法律上、ストライキ(同盟罷業)は労働組合が使用者に対して行う争議行為の一つであるが労働関係調整法という法律では争議行為は以下のように定義されている。

労働関係調整法7条

「この法律において争議行為とは、同盟罷業、怠業、作業所閉鎖その他労働関係の当事者が、その主張を貫徹することを目的として行ふ行為及びこれに対抗する行為であつて、業務の正常な運営を阻害するものをいふ」

このように、ストライキなどの争議行為は、「業務の正常な運営を阻害する」ことに本質があるのであるから「迷惑なもの」であることはむしろ当然なのである(逆に言うと「迷惑でない」ストライキはストライキとして無意味である)。

過疎地で普段利用しているバスが運休になったり、離島へ行く唯一の交通手段である船舶が運航停止になったりすれば、誰だって不満を持つだろう。

労働組合の組織率が年々低下し、労働組合の力が弱まってきているともいわれストライキが行われることが珍しくなってきてはいるが、それでも労働組合にとってストライキは「伝家の宝刀」でもある。

ストライキの批判は労働組合に向けられがちだが、労働組合が正当な要求をしている場合に使用者側がこれを受け入れずにストライキをしているのであれば、使用者側にも非難される要素がある。労働組合・ ストライキの存在意義、歴史的重要性、 憲法的価値を踏まえた上で労働組合がいかなる理由でストライキを 敢行しているのかといった背景にまで意識を向けることの重要性は強調しておきたい。

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