三江線廃止後の標的?「木次線」の生き残り策

ワイン列車不調にめげず女子旅列車で大逆転

雲南市と奥出雲町は諦めなかった。ワイン列車の経験を教訓とし、新たな観光列車を企画した。飯南町・雲南市・奥出雲町に住む女性が結成した「おくいずも女子旅つくる! 委員会」の協力を得て「癒やしの汽車旅 木次線 おくいずも女子旅列車」を開催した。

車内はカーペット敷き、パステルカラーのカフェ空間(筆者撮影)

2017年11月18日。ふだん使われているキハ120形気動車の室内が、カーペット敷き、ロングシートにソファカバーを被せたカフェ空間になった。満席の女子旅列車は定期列車に増結される形で出雲横田まで往復した。行きの車内では地元のカフェが特製スイーツを提供。帰りの車内では地元名産の和スイーツを配布。くつろぎのカフェ空間、友人の部屋に遊びに行ったような居心地の良さ。地元の楽しさを知り尽くした女子ならではの企画だ。

出雲横田でのお弁当、観光体験を含めて、代金は8800円。前回よりは安くなったが、若い女性にとってはちょっと高めだったようで、今回も集客には苦労したという。また、当初は2回開催予定だったけれども1回になった。車内装飾用部材の一部がJR西日本の難燃化の規定に合わず、代用品の手配が間に合わなかったからだ。

地域とのつながりができた

最少催行人員15名のところ、今回は満席の25名。その人数で儲かったとか、地域の活性化ができたとかを語れない。しかし、この列車の運行は大きな意味があったと思う。

女子旅列車の運行を知って、地元の祭り関係者が駅に集まった(筆者撮影)

その第1の理由は、地域と木次線のつながりを作ったこと。私のようなよそ者の提案ではなく、地域の人々が立案し、地域の商店、食材を使ったことだ。木次線ではおもしろいことができる。木次線に関わるとビジネスに結びつく。自分は木次線に乗らないけれど、木次線に関わると利益がある。そういう認識が広まるきっかけになった。

第2の理由は、JR西日本の米子支社、本社に木次線をアピールできたこと。地域が木次線と結びついて、さまざまな集客活動をしている。成功すれば、木次線だけではなく、近畿圏、山陽圏から木次線へ往復する鉄道利用者も増える。木次線がJR西日本にとっても必要な存在だと認知される要素となった。

第3の理由は、地域と、JR西日本の地元の所管部署である木次鉄道部の絆が強くなったこと。実は、ワイントレインの時に普通車両のテーブル設置を提案したところ「できない」の一点張りだった。JR西日本に限らず、大企業は稟議に時間がかかり、前例のない事例を始めにくい。地方の第三セクター鉄道では社長の鶴の一声でできることが、JR西日本ではできない。

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