三江線廃止後の標的?「木次線」の生き残り策

ワイン列車不調にめげず女子旅列車で大逆転

2016年3月22日、木次線開業100周年記念事業として「これからの木次線を考える会」が開催された。私も出席させていただき、「いますぐに新しい観光列車を始めるべきだ」と説いた。

奥出雲おろち号(筆者撮影)

おろち号が運行できなくなってからでは遅い。全国に観光列車が100種類以上もあるなかで、木次線に観光列車の空白期間を作ってはいけない。おろち号がある間に、2本目の観光列車を走らせれば話題になる。20年も続いたおろち号の利用者が、再び訪れるきっかけになる。

2016年春に筆者が提案した観光列車の基本プランから 定期列車に併結する運行は明知鉄道の食堂車がヒント

2本の観光列車はグレードを変えるのがよい。おろち号は乗車券と指定席料金のみのお手軽な列車だ。ファミリーや若いグループ向けである。そこで、新たな観光列車は食事やサービスを提供し客単価を上げる。もちろん提供するのは地域の名産品だ。可処分所得と可処分時間の多い熟年世代層に訴求すれば、沿線で買い物をするだろうし宿泊も期待できる。地域の活性化につながる。

車両に関しては、新造や改造の費用がないことから、既存車両に会議室テーブルを設置し、テーブルクロスなどで装飾する形で始める。成功して集客が見込めたら、あらためて専用車両を検討すればいい。そのためにも、まずは運行して実績を作ることが必要だ。

木次線は単線で、スイッチバックもある。交換駅も少なく、運行本数を増やせないという声が出るかもしれない。だとしたら、定期列車に観光列車を連結して走らせればよい。

「木次線ワイン&チーズトレイン」が不調に

2016年の秋に「木次線ワイン&チーズトレイン」という観光列車が企画された。沿線の雲南市には「ワイナリー奥出雲葡萄園」がある。また、木次乳業は日本で初めてパスチャライズ(低温殺菌牛乳)を商品化しており、東京でも高級食品店で売られている。牛乳だけでなくチーズも作っている。そこでワイン&チーズだ。車両はおろち号の一部座席が用いられた。

「木次線ワイン&チーズトレイン」立ち寄り地の奥出雲葡萄園
併設レストランのランチ(筆者撮影)

しかし、この企画は不調に終わる。20名の枠に対して参加者は最少催行人員ギリギリだった。現地集合現地解散の日帰りで1万2800円は高いという声もあったけれども、チーズ作り体験もあり、地酒の酒蔵も訪ねるというプランは、酒好きの参加者から好評だった。充実した内容からすると妥当な料金であるし、個人旅行ではできないツアーだ。となれば、問題は告知不足だろう。準備期間が短く、地元メディアなどへの広報も足りなかった。

ワインは世界の共通語。世界から集客できるはず。順調に運べば、米国カリフォルニア州の「ナパバレー・ワイントレイン」のような存在に育てられる。それが集客的には失敗。関係者一同、意気消沈であった。

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