「孤独を感じてる人」が直面する深刻なリスク 人に囲まれていればいいわけじゃない
つまり、社会的に孤立している人でも孤独を感じないこともあるということで、そうした人はひとりでいることをより好んでいるにすぎない。
同様に、たくさんの人に囲まれていても孤独を感じることはある。その人間関係が感情的に価値をもたらすものではない場合が特にそうだ。
カリフォルニア大学サンフランシスコ校のカーラ・ペリッシノット博士らは2012年に、孤独を感じている人の大半は結婚していて、共に暮らしている人がいて、臨床的なうつ病ではないとの研究結果を発表している。
孤独を感じるピークは高齢層ではない
ブリガム・ヤング大学のホルト・ランスタッドは、「結婚していないことは重要なリスクだが、すべての結婚が幸せなものではない。人間関係の有無や量だけではなく、その質を考慮しなくてはならない」と言う。
同じくらい驚きの発見が、最も孤独を感じているのは高齢者層とは限らないということだ。孤独に関する研究の多くは高齢者のみを対象としているが、ホルト・ランスタッドらは計340万人を対象とした70もの研究を分析。その結果、孤独を感じるピークは思春期と青年期で、超高齢期に再びピークが来ることが明らかになった。
ホルト・ランスタッドは「65歳以上よりも65歳未満のほうがリスクは大きいことがわかった」と言い、孤独の影響に関する研究はすべての年齢層に注目すべきだと述べている。
最近の研究ではこのほかにも、孤独がアルツハイマー病の前駆症状である可能性も示されている。
ボストンのブリガム・アンド・ウィメンズ・ホスピタルの老年精神学者で神経学の研究者であるナンシー・ドノバンらは、正常な認知能力の成人79人を対象にしたハーバード・エイジングケア・ブレイン・スタディのデータから、孤独に対する評価のスコアと脳内のアミロイドの量に関係性があることを発見した。アミロイドの蓄積は、アルツハイマー病の主な兆候と考えられている。