スズキ新型スペーシアで王者N-BOXに挑戦状 最新安全装備と広い室内空間でホンダに対抗

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新型N-BOXは、前後に57cm動かせる「助手席スーパースライドシート」を採用。後部席から運転席に移動できる。子育て世代の声を反映した(撮影:尾形文繁)

N-BOXはスペーシアに先駆けて、9月1日に初のフルモデルチェンジを実施(「ホンダ『N-BOX』は軽自動車の王座を守れるか」)。1カ月の累計受注台数は5万2000台を超えるなど好調だ。先代がバカ売れしたにもかかわらず、エンジンを含むプラットフォームを全面刷新し、構成部品の9割に及ぶ見直しなど、守りでなく攻めに出ている。

先代の弱点だった安全装備も「ホンダ センシング」の導入で充実させた。ミニバン「フリード」などの登録車と同等の機能を搭載。スズキ同様、駐車時などに後方への誤発進を抑制する機能をホンダ車で初めて採用した。弱みとされていた安全装備を充実させたことで、ライバルが追いつくのは簡単ではない。

装備充実でも価格を抑えるのがスズキ流

スズキの鈴木俊宏社長は新型スペーシアを「自信作」と表現。王者のホンダ「N-BOX」に真っ向勝負を挑む(撮影:尾形文繁)

実際、鈴木社長も「ホンダのN-BOXは本当に強いが、チャレンジしていきたい。一歩でも足元に及ぶようになればいい」と謙虚だ。一方で「先代のスペーシアでも絶対勝てる性能があった。装備を充実させても、価格を抑えてやるのがスズキの強みだ。今回は大きさや見た目でも同等になった。営業力とサービス力も含めて強化していく」とも語り、“打倒N-BOX”に向けた強い闘志も見せた。

ダイハツも2018年秋にタントを全面刷新するとみられる。タントは2014年度にN-BOXを抑えて軽自動車の年間販売首位に輝いた強者だ。強豪ひしめくハイトワゴン市場で、新型スペーシアは存在感を発揮できるか。

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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