結果として試乗してみると、タイヤのゴロゴロ感などが少なくなっているし、ハンドルの操作に対する素直さ、意のままに曲がる感覚が強くなっており、走りやすさも気持ちよさも格段に向上していた。肌に直接触れるハンドルからの走行振動が減り、レヴァンテが一段と高級車として意識に深く刻まれた。
砂漠地域を豪快に走れる能力
今回のメインイベントである砂漠地帯を走ってみた。その走行イメージは、足がズブズブと沈んでしまい歩くのも困難な重めの雪が降り積もった新雪を走るようなもの。1度止まったら再スタートが厳しいので、アクセルを踏み続ける必要がある。そのような特殊環境では一般道とクルマに求める要素が変わり、印象が異なってくる。
たとえば一般道では、ガソリンエンジンの官能的でありの刺激的な排気音や吹け上がりの鋭さは魅力的だが、やはりディーゼルエンジンが備えるトルクが満ちあふれ、容易に速度変化できる運転のしやすさがより魅力的に感じていた。そして、そのディーゼルの好感触はタフな走行環境となる砂漠では助長すると予想していたが、まったく逆だったのだ。
タイヤが砂をかき分けても一向に下地である地面など出てこない、そんな永遠に砂に覆われた環境では、グリップさせながらクルマを前に進めるなどという一般常識の走りは通じない。豪快に砂を巻き上げながら、アクセルを踏み続けてクルマを前に進める能力が大事。そして、そんな過酷な場面になるほどにレヴァンテが強いとマセラティが主張していた意味がわかった。
まず最低地上高を決める車高や運動性能が、任意の走行モード選択や速度に応じながら自動で調整可能。これだけでも豪快にアクセルを踏み続ければ“そこそこ”走れるが、絶対にスタックするなど足元を救われないために重宝したのが、ここの砂は “しまって”いるのか“ふかふか”なのかなど、砂漠のなかで微妙に変化する砂の環境変化についてハンドルを通して明確につかめたことだ。これが優れているから走りやすかったのは事実だが、さらにこのような場面になるとガソリンエンジンの特性が圧倒的に適していることも加えておこう。
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