北海道庁が目論む「観光列車」に足りないもの JR北海道は観光用車両を新造するべきか?

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では、今後の観光列車において、これら地元の歓迎は必須であろうか。

個人旅行では味わえない地元の人とのふれあいなどは、観光列車に期待されることであろう。しかし、それがいずれも「3点セット」では訴求力が不足する。だからといって、白糠町や斜里町のような熱のこもった歓迎行事は、持続するのに無理があるだろう。地元に負担をかけすぎず持続でき、さらにおカネも地元に落ちるような仕組みが必要だ。

その点、旅行の目的となる特産品の試食・試飲と販売は、ありきたりながらも鉄板の素材である。特に旬の味覚は、風光明媚な車窓とともに旅行者を満足させる要因となろう。

たとえば今回、白糠駅で食したシシャモは、参加者一同が口々においしいと絶賛していた。それもそのはず、日本全国で売られているシシャモのほとんどは、よく似た代用魚で、本物は日高沖の太平洋にしか生息していない。その本物のシシャモは、11月上旬を中心に産卵のために日高を離れ、襟裳岬を回り込んで北上し、太平洋岸の川をさかのぼる。つまり白糠付近にやってくるのだ。そのおかげで、ツアーではまさに旬のシシャモが提供されたのだった。

だが、このことを知って食べた参加者がどれだけいたのか疑問だ。白糠として“本物のシシャモの旬”をPRできる絶好のチャンスだっただけに、もったいない気がした。こういった旬な特産品を巡る旅は参加者受けするだけに、観光列車の企画面ではよい商材といえよう。

車両をどうするか?

北海道の観光列車を考えるに際して、問題になるのは車両だ。

石北本線の特急「大雪」(手前)も、今回のツアーに使われたクリスタルエクスプレス(奥)もキハ183系だ(筆者撮影)

モニターツアーでは、1回目にノースレインボーエクスプレス、2回目と3回目はクリスタルエクスプレスというJR北海道のリゾート車両を使用した。いずれも国鉄時代に製造されたキハ183系に属する車両だが、同形式は老朽化により遠からず全廃が予想されるため、これら2編成もいつまで走るか予断を許さない状況だ。

となると、近い将来に本格運行を検討している観光列車には、これら以外の車両を使うことを前提とした構想が必要になってくるだろう。そこで、ツアー中に関係者に聞き回ったところ、人によって少しずつ見解が異なった。

共通していたのは気動車を使用すること。そして、超豪華車両ではなく、ラウンジなどのフリースペースがある従来型のリゾート車両という点だ。制約の少ない気動車が望ましいという点は筆者も同意する。従来型の汎用性があるリゾート車両も、現実的な考え方であろう。異なる見解があったのは、両数だった。「2両あればよい」「フリースペースと売店のある車両が1両ついた3両編成がよい」「ゆったりとした座席を考えると、3両ではバス2台分となってしまうので、集客上4両編成が無難だ」といった具合だ。

ツアーでは、最後に参加者全員に対してアンケート用紙が配布されたが、その設問の中に“「北海道らしい観光列車」について”という項目があった。この結果も含めて、今後、観光列車の車両をどうするかが検討されていくことになろう。

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