「豪華観光列車」料金があまりにも高額なワケ クルーズトレイン料金は「運賃」ではなかった

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ななつ星、四季島、瑞風は、どれも鉄道車両内において豪奢(ごうしゃ)なひとときを味わうことを目的としており、沿線観光地や有名ホテル・旅館にも立ち寄り、宿泊や食事を楽しむことができる「周遊型ツアー」として確立されている。しかし、その額は最も安価なものでも1泊2日で25万円と、かなり高額なものとなっている。

※2名1室利用・いずれも最安値のコースのもの。データはJR九州・JR東日本・JR西日本ホームページより
※内容はJR九州・JR東日本・JR西日本ホームページより

ななつ星と四季島の3泊4日コースは、それぞれ1泊は沿線地域の豪華旅館の宿泊が加わっているのも大きな特徴だ。ななつ星では由布院温泉の「玉の湯」「亀の井別荘」、「四季島」では、登別温泉「滝乃家」といった、当代一流の旅館である(現在ななつ星は台風18号の影響で久大本線の一部区間不通のため、コース・宿泊地など内容が変更となっている)。瑞風では外部での宿泊はないものの、「菊乃井」村田吉弘氏の日本料理や「ハジメ」米田肇氏の西洋料理を堪能することができる。

ここで、単純な疑問がある。クルーズトレインは、なぜこれだけ高価なのだろうか。本来の運賃・料金であれば、特別車両であったとしても、ここまでの値段設定は考えられない。

クルーズトレインは「募集型企画旅行」だった

その理由は、豪華さはもちろんだが、クルーズトレインは、従来JRにおいて設定されている特急列車などの運賃・料金体系とはまったく別種類のものだからだ。つまりこの列車に乗車するための条件が「乗車券」「特急券」「寝台券」を購入することではなく、これらの運行そのものが不特定多数の旅行者の募集を行う旅行商品であり、乗車を希望する場合はこの旅行商品に申し込みを行う形をとる、ということなのだ。

申込先としてそれぞれツアーデスクが開設されているが、ななつ星は「JR九州企画」、四季島は「びゅうトラベルサービス」、瑞風は「日本旅行」といったグループ内の旅行会社がツアーデスクを運営しているのだ。旅行業法では、このように、旅行会社があらかじめ旅行の行程・計画を作成し、パンフレットや広告などで参加者を募集して実施する旅行のことを「募集型企画旅行」と規定している。いわゆる、「パッケージツアー」と称されているものだ。

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