JRで一番「効率よく稼ぐ路線」は九州にあった 四国・九州・貨物3社の営業係数を独自試算
●JR九州
上場を果たして間もない2016年度のJR九州の鉄道事業の営業係数は劇的な内容となった。確定値である同社全体の数値は84.8と、2011年度の106.5から大幅に好転して営業利益を生み出すようになったからだ。ちなみにこの数値はJR東日本の82.5に匹敵し、JR西日本の87.0を上回る。
好調な営業収支は減価償却費の大幅減によるものだ。2016年度は20億円と、前年度の250億円に比べて230億円も減っている。加えて、運送営業費が1372億円から1213億円へと159億円も少なくなった点も見逃せない。鉄道事業における収入が2015年度の1692億円から1650億円へと42億円減りながら、251億円の営業利益を計上した理由もここにある。
断トツは宮崎空港線
試算によれば、営業係数100未満を記録した路線も目白押しだ。26.7の宮崎空港線を筆頭に47.7の九州新幹線、81.6の長崎線、85.5の佐世保線、91.3の鹿児島線、93.0の山陽線、95.2の筑肥線、95.8の日豊線と同社の主要路線が顔をそろえる。あと一息で黒字となる100台の路線も104.5の香椎線、104.7の篠栗線と控えており、同社の経営陣や投資家たちにとってはまずは一安心といったところであろう。
宮崎空港線の営業係数が極端に良好な理由は、営業キロわずか1.4kmにもかかわらず、旅客運輸収入が8300万円と発表されているからだ。宮崎空港線の営業キロ1km当たりの旅客運輸収入は5929万円で、九州新幹線の1億7335万円、鹿児島線の1億5719万円には及ばないものの、筑肥線の4765万円や日豊線の4575万円を上回る。さらには、営業キロが短いことから固定費が大幅に抑制されている点も大きく、今回の試算でJR旅客会社の各路線中、最もよい営業係数が記録された次第だ。
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