コンパス刷新に透ける好調ジープの拡販戦略 初の販売1万台超え狙い、ファン育成にも注力
日本市場で販売低迷にあえぐアメ車の中で唯一気を吐いているのが、ジープだ。昨年は過去最多の9388台(前年比31.6%増)を販売。今年は初の1万台超えを狙う。拡販を実現するための武器が、5年ぶりに刷新したコンパクトSUV(スポーツ多目的車)の「コンパス」だ。
新型コンパスには、前輪駆動(FF)の「スポーツ」とブラックペイントルーフ仕様の「ロンジチュード」、4輪駆動の「リミテッド」の3グレードを用意。価格は323万~419万円。30代半ばの男女向けに「人生に迷う時期の羅針盤(コンパス)に」というコンセプトを打ち出し、12月2日に発売される。
ごつごつした強めのデザインを押し出す
ジープはフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)のブランドの1つ。デザイン性が際立つ大人気モデル「ラングラー」が国内販売台数の4割を占める。フラグシップモデルの「グランドチェロキー」や、丸いヘッドランプで女性や若者にも親しみやすい都市向けの最小SUV「レネゲード」なども人気を博す。
コンパスは、小さくも個性的なレネゲードと、大型SUV「チェロキー」の間に位置するモデルだ。その新型車のデザインはグランドチェロキーのDNAを受け継ぎ、長さ・サイズが大きく見えるように工夫を凝らしたという。エクステリアデザイナーのクリス・ピシテリ氏は、「フェースは虎の目をイメージし、敏捷性も兼ね備えることで、プレミアム感と動物的な力強さを両立させることを意識した」と語る。
結果として、新型は旧型に比べ、ややごつごつした強めのデザインが押し出されている。これには顧客層を広げたいというジープの狙いがある。
これまでコンパスは、ジープのラインナップでは「お買い物カー」的な位置づけにあり、買い物など日常生活での使い勝手のよさを求める女性から大きな支持を集めていた。一方の男性は車に「かっこよさ」を求め、武骨なデザインのラングラーに魅せられることが多い。車種が豊富なジープならではの悩みは、購入希望の夫婦間でも意見が分かれることだという。
そこで、使い勝手を維持しつつ、男性好みの力強いデザインに振ることで、男女双方に訴求することにした。ジープは「近年混戦のコンパクトSUVに属するが、十分に競争力を持つ」(広報)と自信を見せる。
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