アップル再起動&電子部品サバイバル スマホ時代を開拓したアップルの再起は?

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アップル再起動の行方

「二つのモデルを提供することで、さらに多くの顧客にアピールすることができる」。9月10日(日本時間11日)、米アップルのティム・クックCEOはiPhone(アイフォーン)の新型モデルを発表する前にこう切り出した。

同社は「5」の後継として機能を向上した「5s」、さらに価格を抑えた廉価版の「5c」を今月20日から9カ国で発売する。

「これまでのアイフォーンで最も先進的」と、米カリフォルニア州で開かれた記者会見でフィル・シラー上級副社長が繰り返し強調した5sの目玉の一つは、新たに開発した最新CPU「A7」。「64ビットのCPUを搭載したスマートフォンはいまだかつてない。彼ら(アンドロイド勢)の間では(開発の)話すら出ていないだろう」と胸を張った。

上位機種の5sは、1秒間で10枚連続撮影できるなどカメラのスペックが向上したほか、指紋を利用した個人認証機能を新たに搭載。利用者があらかじめ指紋登録をしておけば、ホームボタンを押すたびに認証される仕組みで、従来の4ケタのパスコード(利用率は50%程度)より格段にセキュリティが強化される。

5sの米国での価格は、199ドル(16ギガバイト、2年契約)。通信会社のインセンティブが450ドルなので、端末のみの価格は649ドルだ。

5cは、機能自体は現行の5とほぼ変わらないが、ケースに強化プラスチックを採用。ボディカラーはグリーンやイエローなど5色展開する。99ドル(同)と5sより低価格だが、「実質0ドルも」という事前予想よりは高い値付けがなされている。

「これまでにない触り心地」とシラー上級副社長が強調するとおり、実際に5cを手にしてみると、これまでのアルミニウムとは違うつるっとした感触が手になじみやすく、安っぽさはない。カラフルな専用ケースを用意するなど、ポップな印象だ。

今回、アップルは日本で新たにNTTドコモが取り扱いを開始すると発表した。アップルによると、年内には世界270以上のキャリアーで取り扱われるという。ただ、取りざたされていた中国最大のキャリアー、中国移動(チャイナモバイル)での販売は発表されなかった。

新興国市場で苦戦 2四半期連続で減益

アップルにとって、5sと5cが果たすべき役割は大きい。イノベーションの旗手、高成長企業としての輝きが薄れつつあるからだ。

2011年10月にスティーブ・ジョブズ前CEOが死去。カリスマ不在が不安視されたが、直後に発売された「4S」が大ヒットし、本格的に船出したクックCEOの下、アップルの株価はぐんぐん上昇した。時価総額は世界一に上り詰め、12年9月の5発売日には705ドルの最高値をつけた。しかし、それがピークとなった。

昨年10月にタブレット端末「アイパッド・ミニ」を投入するなど、タブレット市場では圧倒的なシェアを確保している。それでもスマホ、タブレットともに世間を驚かすことはできていない。

米国など先進国ではスマホ需要が一巡しているうえ、韓国サムスン電子の「ギャラクシー」などアンドロイド端末が台頭。新製品投入ペースが遅く、ラインナップが少ないアップルのシェアは減少傾向だ。膨大な需要増が見込める新興国ではサムスンだけでなく、中国・華為技術(ファーウェイ)など新規参入も盛んで、低価格競争が加速。アイフォーンのような高単価品は分が悪い。このため5は計画ほど売り上げが伸びず、年初には部品メーカーに「アップルショック」が広がった。

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