希望の党は「個人商店」から脱皮できるのか 小池百合子代表「創業者としての責任がある」
その結果、小池都知事は今後6年にわたり、党内で絶大な権力を掌握することになる。実際に両院議員懇談会の後のブリーフィングで、樽床伸二代表代行は「創業者だから」と小池知事の“特別な地位”について明言。その言葉から、希望の党を“個人商店政党”から脱皮しようという意思は伺えなかった。
「人事については国会議員に任せる」と明言した小池知事自身も実のところ、権力に強いこだわりがあるようだ。懇談会後のブリーフィングで記者から「国政で意見が分かれるテーマがあっても、対処は国会議員団に任せるのか」と質問された時、「テーマによる」と答えた。
これは代表である自分に決定権があるが、普段は行使を控えるという意味だ。だが小池知事がいつ国政に強い影響力を行使してくるかはわからない。実際に側近の若狭勝氏が今年8月に国政政党を作ろうとした時、「国政は若狭に任せる」と小池知事は明言した。それなのに希望の党の結党時には、若狭氏や細野豪志氏がそれまでに作り上げてきたもの全てを“リセット”した。
都民ファーストの会も危機状態
しおらしく「都政にまい進する」という小池知事の言葉も、「権力の自制」から出たものとは思えない。というのも、小池都政の基盤となる都民ファーストの会が危機状態だからだ。
希望の党の両院議員懇談会が開かれた25日、都議会民進党はすでに決まっていた都民ファーストの会への合流をとりやめた。都民ファーストの会は10月5日に音喜多駿都議と上田令子都議の2名が離脱したが、都議会民進党のメンバー5名が参加するために党勢には影響はないと言われていた。
さらに都民ファーストの会から離脱者が出ると囁かれている。そういうことが続くと都民ファーストは、崩壊の危機に瀕しかねない。22日に筆者が配信した動画の番組でゲストとして出演した自民党の川松真一朗都議は「その噂は聞いている」と話している。
同番組に出演した公明党の斉藤泰宏都議は「都民ファーストの会は都議会で単独過半数を制していない」と小池都政の地盤の脆弱な点を指摘した。だからこそ都議会公明党との連携が必須となるのだが、国政で公明党は自民党と連立を組んでおり、希望の党との連携は不可能だ。小池都知事は、国政に活路を見いだせず、とはいえ足元の都政でも困難が待ち構えているのである。
11月1日に特別国会が召集されて首班指名が行われる。ところが、希望の党は首班の候補者選定ですら難しい政党である。そこに、国民は“希望”を見いだせるだろうか。
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