前代未聞の奇妙な選挙、これこそが「国難」だ 主役2人の明暗くっきり、次の離合集散始まる

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故中川昭一元財務相の未亡人という立場なのに、妻子持ちの同僚議員との「路チュー」を激写され、病院に逃げ込んで批判された中川氏は、「聖心女子大OG」対決で後輩の石川氏に圧倒され、比例区復活もならずに悔し涙を流した。

また、当選同期が縁で結婚した夫(宮崎謙介元衆院議員、不出馬)が「育メン宣言」しながらの女性タレントとの不倫で議員辞職に追い込まれるという不運を跳ね返すべく、初出馬以来の「宿命のライバル」とされる菊田氏と「泣き合戦」を演じた金子氏は、小選挙区で競り負け、比例も次点で議席を失った。

「ダブル不倫」疑惑でも無所属で勝ち上がった山尾氏と比べ、「不倫の被害者」のはずの自民公認の金子氏が落選というあたりには、"スキャンダル女性"に対する有権者の「複雑な反応」もにじみ出た。

この4人のお騒がせ女性候補はいずれも3回目の当選を目指した戦いで、山尾氏を除く自民組の豊田、中川、金子3氏はいずれも「自民党魔の2回生」の一員でもあった。それぞれの奮闘ぶりには、有権者からの好奇の目をものともしない「メンタルの強さ」がテレビ桟敷でも話題になったが、山尾氏以外の3氏は逆風を跳ね返せず、涙にくれた。

「壮大な選挙詐欺」という後味の悪さも

首相は「女性活躍」を叫び続けるが、今回の選挙戦でも女性当選者は依然少数で、欧米の先進各国との落差は一向に埋まらない。そもそも、お騒がせ議員や女の戦いばかりが話題になる辺りに、「所詮、女性議員は政界のあだ花」との永田町の差別意識がにじむ。"勝負師"と呼ばれながら「排除」などの発言ミスで「希望」を「絶望」に変え、小池氏を頼った多くの民進系前職を「死亡(落選)」させた小池氏の落胆ぶりと、お騒がせ女性候補たちの大仰な泣き笑いは、「男社会」から抜け出られない永田町政治の歪みも浮き彫りにした格好だ。

こうした候補者の泣き笑いは「相変わらずの選挙風景」(自民幹部)との見方もあるが、今回ばかりは解散に至る経過や、その後の野党陣営での離合集散のドタバタ劇で、「過去にも例のない異常な選挙」(首相経験者)だったことは否定できない。

小選挙区で敗れた候補が比例復活する奇妙な選挙制度も相まって、1億人を超える有権者にとって「開けてびっくり」というより「壮大な選挙詐欺」に引っかかったような選挙結果は、「後味の悪い国民の審判」として政治不信を拡大させかねない。

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