あのフェラーリが神聖な土俵に上がったワケ 創業70年の名門メーカーが日本に見出す商機

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孤高の道を行くフェラーリにも懸念もある。世界的なEV(電気自動車)シフトや自動運転化、コネクテッド化など「100年に1度の転換期」とも言われる自動車産業の革命的な動きだ。どのように対応するのか?

EVではフェラーリの楽しみが味わえない

フェラーリが創業70周年を記念して開発した「LaFerrari Aperta(ラ・フェラーリ・アペルタ)」のパワートレイン。電動モーターを兼ね備える。V型12気筒の自然吸気エンジンが独特の音を作り出す(撮影:大澤 誠)

デパオリ社長は「パワフル、ビューティフル、エモーショナルな車を創るのがフェラーリだ。確かにEVのパフォーマンスは良いかもしれない。ただフェラーリ独特の排気音やデザイン、乗ったときのワクワク感などをEVで実現できるとは思えない。

ラフェラーリ・アペルタは自然吸気エンジンを補完する形でハイブリッド技術を採用しているが、純粋なEVでフェラーリの良さを実現させるのは難しいだろう」と展望する。

また、「単なる移動手段なら自動運転車もいいが、フェラーリは移動するための車ではない。運転する喜びが失われる自動運転車にフェラーリがシフトすることは考えられない」と明言。

これらは、フェラーリの熱狂的なファンにとっては何とも力強い言葉だろう。だが、「動く芸術品」とも言えるフェラーリとて、公道を走る以上、環境対策や安全対策とは無縁でいられるはずもない。現在の生産台数は年間約8000台だが、今後台数が増えると排ガス規制などが厳しくなる可能性はある。安全運転支援についても同様だ。いくら「走る楽しみ」を追求すると言っても、他の車や歩行者に対する安全確保が前提となるはずだ。

自動車産業が歴史的な転換期を迎える中、フェラーリはどこまで独自路線を突き進むことができるのだろうか。

高見 和也 東洋経済 記者

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たかみ かずや / Kazuya Takami

大阪府出身。週刊東洋経済編集部を経て現職。2019~20年「週刊東洋経済別冊 生保・損保特集号」編集長。

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