ステップワゴンがHVをスパーダに限ったワケ ホンダのかつての「ドル箱」は苦戦を脱せるか

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その意味では近年のホンダ製ミニバンとの共通性を持たせたともいえるが、同時にトヨタのノアやエスクァイアと同じように、光り物を増やしてこのカテゴリーの顧客の嗜好に合わせたという見方もできる。

パワーユニットの最高出力および最大トルクはエンジン、モーターともにオデッセイ・ハイブリッドと同じであり、駆動用リチウムイオンバッテリー容量も共通になっている。

気になる燃費はJC08モードで25km/Lをマークしている。ライバルであるトヨタ3兄弟ハイブリッド車の23.8km/Lをやや上回った。セレナはモーター走行ができないマイルドハイブリッド方式なので17.2km/Lにとどまっている。

ホンダの2Lエンジン+2モーター方式ハイブリッドシステムは効率が高く、同じユニットを積むアコードは全車30km/L台をマークしている。セレナは「エクストレイル」に搭載しているストロングハイブリッド方式あるいは「ノート」で好評のe-POWERの導入に迫られるだろう。

価格はやや高め

ただし価格はやや高めだ。マイルドハイブリッドのセレナが250万円以下、トヨタ3兄弟は約300万円からハイブリッド車が選べるのに対し、ステップワゴンのハイブリッド車は約330万円からになっている。

上級車種に位置づけられるスパーダのみの設定であるうえに、格上の車種のために開発されたハイブリッドユニットを転用したことが、ボディサイズのみならず価格にも影響を及ぼしているようだ。

オデッセイ(写真:Honda Media Website)

実際の走りがどうであるかは試乗してみないと断言できないが、アコードやオデッセイ・ハイブリッドに乗った経験からいえば、このシステムは高速道路でエンジン走行をすることを除けば、多くのシーンを電動走行でまかなうので力強く静かである。エンジンも2Lなので1.8Lエンジン+モーターのハイブリッドシステムを積むトヨタ3兄弟より余裕があるだろう。

こうした特性を価格に見合った付加価値として感じさせられるか。ハイブリッド投入によって、ステップワゴンが苦戦を脱せるかどうかのカギはそこにある。

森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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