UUUM社長「ユーチューバーの世界を広げたい」 どうやって人気プレーヤーを輩出するのか

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――企業としての成長に弾みがついた時期、出来事は?

まずは1年目、創業まもない段階でヒカキン、はじめしゃちょーなどのトップユーチューバーが所属してくれたのが大きかった。2014年5月にはヒカキンが「SMAP×SMAP」に出演するなど、知名度が一段と上がっていったタイミングでもある。

また、2014年末に「ユーチューバー1000人を新規募集」と打ち出したのもエポックメーキングな出来事だった。リアルでは、タレントを一気に1000人増やすというのは難しい。当時は「ムリだろう」と失笑を買ったりもしたが、結果的に、無事1000人集めることができた。

水溜りボンドは1000人の募集時に集まった。登録数220万超の人気ユーチューバーだ(写真:UUUM)

今大活躍しているユーチューバーの中にも、「水溜りボンド」など当時の1000人募集から所属につながったメンバーが複数いる。あのとき、思い切った募集を行ったことで、専属ユーチューバーが約180人、ネットワーク(必要なサービスのみを選んで使う形式の契約)への所属が4000人まで増え、ビジネスの規模を大きくできた。

活躍しているユーチューバーさんに「ぜひウームに所属してください」と声をかけるような機会は、すでにここ何年かで減ってきた。今度は内側から、第2、第3のスターを生み出していくフェーズに入っている。そういう中では、先に挙げたような教育がより重要度を増してくる。

面白いと思ってもらえる動画を作る

――上場企業になると、コンプライアンスに向けられる目は厳しくなる。ネットメディアに関してはここ最近、テキスト記事、動画にかかわらずステルスマーケティング(ステマ)問題が頻繁に指摘されるが、ウームではこの点をどう考えているか。

僕らは創業当初からタイアップ動画を展開してきたが、当時はインターネットマーケティングのガイドラインはなかった。当然、当社もクライアント企業もユーチューバーも、ステマと認識されていいことなど一つもない。2015年にはJIAA(日本インタラクティブ広告協会)と連携し、独自の提供表示ルールを作った。

そもそもなぜステマが出てくるかというと、ステマのほうがPRと明示した動画より広告効果が高いと信じ込んでいる人たちがいるからだ。でも、僕らのたどり着いた結論は、PRだろうとなかろうと、いい動画はいい動画で、たくさん見られるということ。これはクリエーターも納得している。

「PR」と入っている動画でも、面白ければ最後まで見てもらえる。逆にPRの動画でなくても、面白くなければ途中で離脱される。実際、社内で年間再生回数のランキングを作ると、企業と一緒に取り組んだPR動画がかなりの数上位に入ってくる。それは(物品や場所などの)リソースを提供してもらって、ユーチューバー個人では実現できないようなチャンスをもらえるからだ。

提供表示のルールを決めて、しっかり守ることは大前提。だがそれ以上に重視している目標は、企業におカネをもらう動画もそうでない動画も、目の前の機会を無駄にせず、ターゲット層に面白いと思ってもらえるものを作るということだ。

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