米国が北朝鮮渡航禁止に踏み切った真の目的 ミサイル発射に対する報復ではない
しかし、詳しい調査によると、2009年以来拘束されている米国人15〜17人のうち、観光客は4人のみである(情報源によって、拘束された米国人の数が異なる)。それ以外は、宗教上、あるいは報道上の理由で中国と北朝鮮の国境を違法に渡った人がいたほか、人道的、開発目的、保健的、教育的活動を北朝鮮で行っている人もいる。
国務省は、「制限された人道的、またはその他の目的のために(北朝鮮を)訪問する米国民は、特別検証パスポートを国務省に申請することができる」ことを明らかにしている。が、こうしたパスポートが認められれば、これまで政治的捕虜の対象になりにくかったこうした人々が、新たに狙われる可能性が少なからずある。
北朝鮮に拘束されている3人の米国人
それでも、米政府が特別パスポートを発行することによって、たとえば獣医が仕事のために北朝鮮に渡航するかもしれない。北朝鮮に焦点を当てて活動する人道主義者や教育者は、宗教的信念を持っていて、国のルールの一部を守ることに対して厳格でないところがある。国務省がこうした人たちに、特別パスポートの交付を拒否できれば、犠牲者を減らすことができるかもしれない。
現在、平壌には拘束されている米国人が3人いる。キム・ハクソン、キム・サンドク、キム・ドンチョルの3人だ。彼らはすべて別々の件で拘束された。
キム・ドンチョルはラーソン特別経済区にてプロジェクトを行っていたが、スパイ容疑で告発された。キム・ハクソンは福音派のクリスチャンが資金を提供する大学および平壌科学技術大学での教職から去ってから、そして、キム・サンドクは18カ月後に同様のことをした後に捕まった。後者の2人はどちらも、まさに飛行機に搭乗しようとしていた時、空港で止められ、 「敵対的行為」に携わっていると非難された。
渡航禁止令により、米国が対処しなければならない拘束者の数はおそらく減るだろうが、完全になくすことは難しい。
2番目と3番目の目的はより密接に関連している。1年約1000人に上る米国人観光客は、北朝鮮経済の成長に貢献していると言える。しかし、平均的な西洋人観光客が1回の旅行で使う額は2000ドル程度なので、その影響は小さい。中国からの観光客を含むすべての観光が明日から中止になり、観光業界がおよそ3000万ドル失ったとしても、核とミサイルの開発計画には影響を与えないだろう。