「定期代」もらって自転車通勤は許されるか

返還義務が生じたり、処分受ける可能性は?

では「実費相当額の交通費を支給する」と定めた会社では、どうなるのでしょうか。

「この場合には、支給基準というものがありません。あくまでも実際に従業員が利用した交通手段に従って、実費相当額を支給するというものです。この場合は『業務費』とみなされます。したがって、自転車で通勤しているのであれば、電車通勤をしたことを前提とする交通費の支給は受けられないのが原則です」

返還義務はなくても、懲戒処分の対象にはなる

今回の男性のケースはどうなりますか。

「雇用契約書で通勤手当について『会社が定める最低廉となる定期代を、月上限3万円まで支給』と規定されていることからすると、会社が金額を決めて、払っているようです。交通費に関する支給基準が定められていますので、先ほど説明したように賃金とみなされます。したがって、自転車通勤をしていた期間について、当該通勤手当の返還をする必要はありません」

男性の交通費は「賃金」扱いなので、返還する必要はないのですね。

「そうなります。ただし、賃金の問題とは別に、就業規則には『特別に認められた者以外の自転車、バイク、自家用車での通勤は禁止』との規定がありますから、この男性が会社の許可を取らずに自転車通勤をしていたのであれば、禁止事項に違反したとして、懲戒処分の対象となりえます。

この場合、違反の内容としてはかなり軽微なものに属するといえ、処分については、就業規則の定めによりますが、戒告ないしはけん責といった処分が相当でしょう」

大部 博之(おおべ・ひろゆき)弁護士
2006年弁護士登録。東京大学法学部卒。成城大学法学部講師。企業法務全般から事業再生、起業支援まで広く扱う。
事務所名:小笠原六川国際総合法律事務所

 

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