東京都の「受動喫煙防止条例」は極めて重要だ

東京都医師会・尾崎会長が説く喫煙の大問題

尾崎治夫(おざき はるお)/1977年 順天堂大学医学部卒業、1985年 医学博士。順天堂大学医学部循環器内科学講座講師を経て、1990年 おざき内科循環器科クリニック開設。2015年 東京都医師会会長、2016年 日本医師会理事。 日本内科学会認定・総合内科専門医、禁煙学会認定・禁煙専門指導者。疾病予防に有効なたばこ対策と要介護を未然に防ぐためのフレイル対策に特に力を入れている。2025年に向けた医療体制の構築を行う(撮影:梅谷秀司)。

――日本の受動喫煙対策の実現が遅れている。

 IOCとWHO(世界保健機構)が協定を結んでからロンドン、リオデジャネイロ、冬季のバンクーバー、ソチ、次のピョンチャンでも原則屋内禁煙。にもかかわらず日本だけがいまだに対応できていない。

国会議員でも都市部選出の人たちは、自身が喫煙者でも、受動喫煙の害について理解し防止策については反対しないと言っている。ところが、地方選出議員は地元の関係者との結びつきが強く、受動喫煙を国民の健康問題として考えることができない。

東京都は政治的には浮動層が多く、先の都議選でも岩盤と思われた自民党が大敗し、都民ファーストの会が大きく伸びた。だからこそ、東京都から受動喫煙防止対策を始めることには意味がある。

飲食店には3次喫煙の問題もある

――屋内完全禁煙について、飲食店からの反対も根強い。

国内外に多数の論文があり、全面禁煙となった場合は飲食店の経営への影響はないとされる。むしろ、非喫煙者が安心して来店できるようになり売り上げが伸びる。喫煙者はタバコを吸う間は食事の手を止めるので、その分長く店に居座る。完全禁煙になれば回転率が上がるし、店が汚れず灰皿の始末も不要。何より従業員の健康を守れる。

そもそも飲食店は、タバコを吸わせておカネを取ることが目的ではないはず。大皿にいろいろな料理を盛り、注文に応じて取り分けるお店では、料理がタバコの煙で汚染される。いわゆるサードハンドスモーク(3次喫煙、衣服や家具などにタバコ煙が付着することによる受動喫煙)になる。安全で美味しい食事を提供するはずの飲食店がそれでいいのですか、ということだ。

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