ここが変だよ!東京の地下鉄路線図デザイン 乗り入れる列車が違うと表示もバラバラに
世界でも最大級の「ネタ画像投稿サイト」といわれる9gag.comに、「世界中の最もややこしい地下鉄路線図15選」というタイトルの記事が掲載された。タイトルには「東京はつらい、でも最悪ではない」と記されている。これによると、「最悪」はニューヨーク、2位がパリ、そして3位が東京という順で記載されている。この順位は、「路線上における乗り換えのパターンの多い順」で決められているようだ。
これら上位3つの地図を比べてみると、あることに気がつく。東京だけ「他社線との相互乗り入れ」が活発に行われており、その結果「実際に地下鉄の電車が走っているが、ルートマップには記載されていない」というおかしな状況が生じているわけだ。
ちなみに、日本の主要大都市で古くから行われている相互乗り入れだが、これは世界的に見て特殊な運行方法といえる。筆者が調べたところでは、ソウルなど韓国の都市で地下鉄と国鉄での相互乗り入れがあるくらいで、それ以外に具体的な例がほぼ見つからない。
この記事を執筆するに当たり、東京およびその近郊を走るすべての鉄道が記載されている路線図はないかとあらためて探してみた。その結果、「スイカ(Suica)とパスモ(PASMO)が使える全路線」という、駅頭や車内でお目にかかることのないルートマップが見つかった。これには英語版もあり、外国人にも参考になる。しかし、その細かさはもはや芸術的といえる類いのものだ。訪日を控えた外国人がこのPDFファイルをダウンロードした途端、あまりの路線の細かさから「旅行先を変えたほうがいいかも……」と頭を抱えるかもしれない。
日頃、通勤で使っている人には気にならないかもしれないが、地方から上京した人や訪日客に対しては「優しい対応」とは言い難い。しかも相互乗り入れを推し進めた結果、運行路線が長くて複雑となり、限られたスペースに小さな字でいろいろな情報を詰め込まざるをえなくなっている。
路線図のフォーマットが統一されていない
成田空港を出入りする空港アクセス特急が乗り入れる都営浅草線には、異なる4社の車両が入れ替わり立ち替わりやってくる。都営地下鉄、京成電鉄、京浜急行、および北総鉄道の車両だ。問題なのは、これらの車両に掲げてある路線図が所有会社ごとに異なるフォーマットのものだということだ。
浅草線に限らず、都内を走る地下鉄計13路線のうち10もの路線で相互乗り入れが行われており、それぞれ関係各社の車両がランダムにホームへとやってくる。その結果、東京での地下鉄路線図は、いろいろなデザインやフォーマットのものが混然と使われているわけだ。
日本ではJRや地下鉄、私鉄などさまざまな鉄道会社により、いろいろなフォーマットの路線図が生み出されている。ところが、ニューヨークやパリをはじめ、世界の主要都市で使われている路線図は基本的に1つのフォーマット(デザイン)のものを使っている。つまり車内、駅貼り、そして配布用の路線図すべてが同じ顔をしている。言い換えると、地下鉄の路線図といえば、駅員にとっても市民にとってもこの1パターンしか存在しないわけだ。
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