日本一のネット市長が創る、スマートな市役所 新世代リーダー 熊谷 俊人 千葉市長

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ネット時代の、スマートな市役所を創造する

「高度成長時代は、街づくりは行政がやるものだった。また地域の自治会組織にしても、従来は決まった人がやっていた。しかし、本来、街づくりは住んでいる人々がするもの。町内会だって、若い人も参画したくないわけではない。ただ、社会構造が変わり、共働き家庭が増える中で、誰もが長い時間は拘束されたくない。市民が町づくりに参加してもらうには、現代的な仕掛けも必要だ」。

新しい地方自治の仕組み「千葉モデル」「熊谷モデル」を全国へ。熊谷の夢は広がる

「街づくりを市民と双方向で」「行政と、住民の距離をグンと縮める」――。熊谷の目指すべき市政の方向性が出ている施策のひとつが、「ちばレポ」(正式名称は「ちば市民協働レポート実証実験」)である。

たとえば道路の補修、公園の遊具などの公共施設の不具合から地域のさまざまな課題について、スマートフォンなどを活用して、写真つきの短いレポートを投稿してもらう。

その内容を市で分析して、課題解決に向け、市民と市役所が協働する可能性や仕組みづくりを探る、というものだ。

同プロジェクトには、日本のマイクロソフト社も協力。こうした取り組みは、米国などの一部自治体で行われているが、日本の自治体では初の試みだ。こうしたレポートが積み重なっていけば、誰のレポートが示唆に富み、的確であるかが、第三者の評価を通じて、webでつながって見える化される。市の職員や一部の関係者だけが考えるのではなく、双方向にオープン化することで、課題解決までのコストを一気に引き下げてしまおうという、戦略的な取り組みだ。千葉市の先進的な取り組みを全国に広めていくのが、熊谷の目標であり、夢のひとつでもある。

頻繁に更新される熊谷のブログやツイッターは、心がこもっていることもあり、市長と市民の距離を縮めることに成功している。子育て世代など、次世代を担う千葉市民が市政を自分のこととして考え、行動する基盤ができつつある。これに、「ちばレポ」のような取り組みが重なっていけば、参画の基盤は、より強固なものになる。

情報通信技術を通じて、市民の英知がつながる街。目指すのは、スマート市役所、略して「スマショ」だ。「2期目は、1期目に仕掛けた施策をどこまでやりきれるか。あるいは完成度を高められるか」。目を輝かせながら、熊谷はこう締めくくった。(撮影:田所 千代美)

*「週刊東洋経済」8月24日号126ページの記事中、熊谷俊人市長のプロフィールで、誤りがありました。正しくは奈良県生まれです。関係者の皆様にお詫びして、訂正いたします。

福井 純 「会社四季報オンライン」編集部長

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ふくい・じゅん / Jun Fukui

『会社四季報プロ500』編集長などを経て現職。『株式ウイークリー』編集長兼任。国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe®)、日本テクニカルアナリスト協会理事

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