北朝鮮「暴走」を封じたのは勇猛な将軍たちだ まさに「将軍たちの時代」がやってきた

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たとえば、選挙戦中にトランプ氏は、オバマケア(医療保険制度改革法)やTPP(環太平洋経済連携協定)をやり玉に挙げ、何かにつけてオバマ政権の実績を潰そうとした。

現に、就任早々、オバマケアやTPPは公約どおり廃止に動いた。ところが、金正恩氏と直接会談する用意があるとか、日本が核武装してもいいとか、かなり無責任な暴言を吐いていたが、引き継ぎのあとではピタッと前言を翻している。

特に北朝鮮の金正恩独裁体制の挑発や暴挙に対する強い姿勢は、オバマ氏の引き継ぎの前と後ではガラリと変わった。大陸間弾道ミサイル(ICBM)の性能や精度は、トランプ氏が引き継ぎ前に想像していた以上に進歩が速く、アメリカ大陸の西海岸まで着弾範囲内という可能性が高まったからだ。

変幻自在なトランプ流ビジネス殺法

これは捨ておくわけにはいかない。これまで中国の説得に期待を寄せてきたが、どうもラチが明かない。「習さん、キミがやらないのなら、オレがやる」とばかりに圧力をかけた。それが習氏の表情を一変させた米中首脳会談だったわけだ。

2度目の電話会談で習氏が念を押すように「平和的解決」を強く要請したとき、トランプ氏はアメリカの対北朝鮮強硬姿勢に対して中国側が暗黙の了解をしたからこその要請であると確信した。手のひら返しに習氏をベタ褒めするようになり、為替操作国のレッテル張りも取りやめた。

新しい情報を得て、正しい事実が見極められれば、前言を翻し、やり方を改めるのもためらわない。それは公約違反でも何でもない。というのが変幻自在なトランプ流ビジネス殺法だ。

トランプ氏は、習氏をベタ褒めしたかと思うと、オバマ氏を"ベタ攻撃"している。オバマ氏の無策に対して悪口の言いたい放題だ。なぜ、オバマ氏に対する悪口を言い続けているのか。

トランプ氏にしてみれば、オバマ氏の命懸けの引き継ぎの中身をしっかり受け止め、それを命懸けで尻ぬぐいしているのであり、結果的にオバマ氏を守っていることになる。だから、守ってあげている自分が、いくら悪口を言っても許されるというわけだ。

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