レクサスが「最上級クーペ」にこだわる理由 台数規模小さくても「エモーショナル」を追求

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こうした新車のラインアップ拡充が奏功し、レクサスの2016年販売台数は国内で初めて5万台(前年比8%増)を突破して過去最高を記録。全世界でも前年比4%増の67万台超と、過去最高を4年連続で更新した。最大市場の北米では原油安でピックアップトラックなど大型車へのシフトが進み、前年比4%減の35万台と苦戦したものの、LXやRX、NXのSUV群が牽引した中国では、前年比25%増の11万台と初めて10万台の大台を突破した。

「LC」は新プラットフォームを採用。エンジンの位置を変え、重心を車体の中心に近づけた(撮影:尾形文繁)

レクサスの福市プレジデントは「品質とサービスで評価してもらっている」と自信を示す。実際、レクサスは米J.D.パワーが2月に発表した「2017年米国自動車耐久品質調査」で1位を6年連続で獲得。新車購入者からの不具合指摘件数が最も少なかった。同率で1位だったのはドイツ高級車メーカーのポルシェ。3位はトヨタ、4位はビュイック、5位はメルセデス・ベンツだった。

だが、順調にみえるレクサスも北米市場が販売台数の過半を占めており、強い地域は偏っている。日本では2016年に6万台を超えたメルセデス・ベンツやBMW(MINIも含む)の後塵を拝し、自動車が生まれた本場の欧州市場でも台数を伸ばしてはいるものの、ドイツ勢が席巻したままで、レクサスの存在感は低い。

五感に訴えるクルマ作りが必要

レクサスインターナショナルの福市得雄プレジデントは「新しい方向性を示せた」と語る(撮影:尾形文繁)

そこを突破するには、品質やサービスだけでは難しい。ジャーマン3に比べて劣っているとの指摘がある感動やデザイン性など“五感”に訴える部分を磨くしかない。福市プレジデントも「車は止まっている限り品質は問われない。だが、止まっていてもメッセージが出せるのはブランド力。ジャーマン3は歴史の長さやストーリーとも重なって、メッセージを出せている」と認める。そのうえで「ブランドイメージを向上させていくためには、車両を変えないと変わっていかない。今回は新しいレクサスの方向性を示せた。皆様の心を動かす車になったと自負している」と胸を張る。

エモーショナルなブランドになるには、台数規模が少なくてもLCのようなラグジュアリークーペが必要だったレクサス。「BMW6シリーズ」や「ポルシェ911」をベンチマークしたという。

2017年はレクサスのフラッグシップセダン「LS」も約11年ぶりにフルモデルチェンジする。新たなストーリーを作ることはできるか。今後のレクサスを占う試金石の年となりそうだ。

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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