逃げ恥30%超!テレビ視聴率はこう変わった ドラマは録画して見るのが多数派か?

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そこで浮上したのが「総合視聴率」だ。リアルタイムの視聴率と、録画したあとに視聴した視聴率を合わせて、重複分を除いた数字だ。録画の数字は放送から7日間にコンテンツを視聴した場合に加えられる。調査世帯に設置された機械によって、録画による視聴もしっかりとカウントされている。総合視聴率の数字は放送から9日後にテレビ局などに伝えている。

「逃げ恥」のヒットでTBS局内も盛り上がりを見せている(撮影:梅谷秀司)

前述の逃げ恥の場合、22日に明らかになった第10話(13日放送)の総合視聴率は30.4%だった。リアルタイム視聴率は17.1%、録画視聴率は17.3%。何と録画で見ている視聴率のほうが高かったのだ。

総合視聴率によって「録画による視聴まで加味しなければ、どれだけ番組が見られているかを把握できない」ということが明確になったといえる。逃げ恥の総合視聴率を見て、業界関係者からは「すごい数字。今まで若者のテレビ離れなんて言われていたけど、録画していただけで、ウソかもしれないね」といった感想も聞かれたほどだ。

録画でも「半分のユーザーはCMを見る」

本来、視聴率とはテレビ局がスポンサーに番組の広告価値を示すための数値。総合視聴率が登場したことで、今後はテレビ局と広告主の間の広告取引も変わる可能性もありそうだ。

録画視聴の場合はプレーヤーのCMスキップ機能によって、ほとんどのCMは飛ばされてしまうのではないか、とも言われていた。だが、ビデオリサーチによると、ドラマやバラエティなど、ジャンルによって傾向は異なるが「おおよそ半分の場合で、CMは見られている」という。中長期的にはリアルタイムだけでなく、録画視聴の視聴率も加味した評価へと変わっていくのかもしれない。 

ビデオリサーチはスマホやタブレットによる、ネット配信の見逃し視聴についても研究を始めている。ただ、全体における割合はまだ小さいだけに、データとして視聴率に織り込むかどうかは未定だという。

大きく変わり始めた視聴率。そんな中、録画において高い視聴率をたたき出した逃げ恥の大ヒットは、苦戦が伝えられ続けてきたテレビという巨大メディアの評価に、新たな判断材料を与えたといえるだろう。

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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