工場勤務17歳女性が「風俗嬢」を希望する理由

離婚した親と別居して生きる彼女の選択

だが、林さんとその男性との関係は悪く、ケンカや口論が絶えず、家出や非行を繰り返すようになったという。中学生のころから、何度も児童相談所に通報されて、児童養護施設や自立援助ホームなどに入所した経験を持っている。

「わたしの居場所は家にはありませんでした。母もおじさん(母の内縁の夫)も生活に余裕がなく、話すたびにケンカになるので耐えられなくて帰りたくなかったんです。でも友達の家に長くいることはできないし、中学時代は公園で寝ていたこともありました」

林さんは、中学校卒業と同時に定時制高校に進学し、そのころから友人の紹介で今も働いている工場でアルバイトを続けている。

家庭の事情によっては、高校生がアルバイトをして、その給料を自身の生活費に充てながら暮らさなければならない状況がある。金沢大学准教授の杉田真衣氏は、貧困状態や不安定就労下にある女性について調査研究をしている。そのなかで、「最初に強調しておかなければならないのは、彼女たちが高校在学時から、労働に従事していることである。裕福な家庭にいる子どものように親から小遣いを受け取り、自由に使えるおカネを手にすることができないだけでなく、必要な生活用品、学業用品を自分で購入することで間接的に家計を支援しており、親からもそれを期待されているからである」(『高卒女性の12年―不安定な労働、ゆるやかなつながり』大月書店)と指摘している。

林さんも別居している母親からいまだに何度も生活費を仕送りしてほしいと連絡があるそうだ。

粗雑な食事で、日常がダイエット

林さんが住んでいる現在のワンルームマンションは、工場の社長名義で借りている。マンションの連帯保証人は、勤め先の先輩になってもらった。林さんは未成年であるため、本人名義で賃貸契約ができない。いくつも不動産屋には断られたという。

「家族に連帯保証人をお願いすると金銭をタカられるので、工場で働く親しい先輩になってもらいました。だから家賃滞納とかできないんですよ。家賃は月額5万円。先月は給料が9万円だったので、家賃払うと生活が無理なんです」

その生活費が足りないために、高校の教諭に相談をしたところ、わたしを紹介されて相談に来られたのだという。何とか高校通学を続けて卒業したいと語る彼女は、十分な食事もとれていないため、かなりやせている。

「友達はダイエットに励んでいるけど、わたしは日常がダイエットですから(笑)」と語るくらい、食事は粗雑だ。今でも忘れられないのは、相談を受けた日に聞いた食事の内容である。

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