2強以外の動画サービスは、灰燼と化した FacebookとYoutubeにはかなわない

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ベライゾンでデジタルエンターテインメントとゴー90のGMを務めるチップ・カンター氏は、「ゴー90の立ち位置は、スポーツ好き、ドラマ好き、コメディ好きを対象に、オリジナルコンテンツ、非独占コンテンツ、ライブコンテンツを組み合わせ、それを広告収益に支えられた単一のサービスにまとめるというものだ。これらをひとつにした広告収益による進化型の新しい動画サービスを求めるオーディエンスが必要だと我々は考えている」と語る。

コムキャストでウォッチャブルのプログラム担当バイスプレジデントを務めるクレイグ・パークス氏によると、ウォッチャブルは「万人受けするもの」になろうとしてはいないが、同じような立ち位置だという。

「たしかにYouTubeは便利でみんなが使っているが、ゆっくりとくつろいで楽しむのにはとても向いていない。ほかに、Facebookなどのソーシャルメディアでは、友達たちがシェアした動画を観ることになるが、どうしても相対的に受け身だ。コンテンツを見つけるのには必ずしも素晴らしい方法ではない。新進気鋭のブランドたちに関するコンテキストがプラスに働くウォッチャブルなら、そのコンテンツを見つける場所になれる」。

おカネを出す用意はある

ベライゾンはゴー90の初年度、コンテンツパートナーに200万~1500万ドルを支払った。金額はコンテンツの量、オリジナルシリーズがあるかどうか、そしてコンテンツ側がゴー90と番組のマーケティングの協力に同意するかで決まった。

一方、スポティファイは、オリジナルシリーズには1エピソードあたり2万~20万ドルの金額を提示している(ある情報筋によると、スポティファイがデジタルスタジオのガンパウダー&スカイから獲得したオリジナルアニメシリーズ「ドローン&レコーデッド」は、1エピソードあたり5万ドルで複数のバイヤーに売り込まれていたという)。

オリジナルのウェブ動画シリーズの市場は全般的に健全だ。ディスカバリー・コミュニケーションズが、ハリウッドのプロデューサーであるロン・ハワード氏およびブライアン・グレイザー氏とともに設立したデジタルスタジオ、ニュー・フォームは、デジタルシリーズをもっとも多く制作しているスタジオのひとつだ。2014年以降、ゴー90、YouTube Red、Vimeo、リファイナリー29、CWシードなどのデジタルプラットフォームとパブリッシャーに番組を販売している。

ニュー・フォームの事業開発担当シニアバイスプレジデント、JC・カンジラ氏は、「会社をはじめたばかりの2015年当時、買ってくれそうな相手を5人見つけた。現在、デジタルプラットフォーム向けオリジナル番組を担当していて、我々が週ごとに連絡を取れるバイヤーのリストには78人の名前が並んでいる」と語る。

この投資意欲の源泉は、良質なコンテンツは安くは作れないという自明の真理だ。

歴史的に、ウェブ動画ビジネスはこの部分に問題を抱えている。テレビとデジタルの両方の経験があるベテランプロデューサーによると、動画に新たに参入してきたオリジナル番組が欲しいというパブリッシャーを中心に、1エピソードあたりわずか7000ドルの低予算という企業が増えたことがあるという。「つまり10エピソードで7万ドル。これで利益を少しでも出せるだろうか? そんなことができる(制作)会社はないよ」と、このプロデューサーは語った。

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