ファンドも食指!音声認識ベンチャーの実力 アドバンスト・メディアの鈴木清幸社長に聞く
調達する60億円の使い道で大きいのが、協業・連携分野での51億円。多言語化での3.5億円、音声認識向上の3億円、周辺技術の開発への2.5億円に比べ、協業・連携分野の金額が突出する。その中身は、発掘やM&Aとあるが、どこか買う相手のイメージはあるのだろうか?
「候補はいくつもあって、たとえば開発パートナーという意味では、競合会社に技術支援できるくらいの会社のメンバーと話をしている。あるいは、開発の一段の底上げができるような研究機関を関西につくりたいと思っている」
顧客ベースを持っている会社もM&A対象に
鈴木社長が説明会の場などでM&Aの対象として挙げているのは、アプリケーション、顧客ベース、開発リソースの3分野。そのうち、開発リソースというのがこの部分に当たるようだ。だが、M&Aを検討しているのは開発リソースだけではない。
「もうひとつは、エンドサービス。われわれ自らが最終的なサービサーになること。サービスをすべて自分たちで作って、課金徴収まですべてやりたい。それは何かというと議事録。声で書く時代をつくりたい。テープ起こしは、市場規模が100億円もない業界だが、熟練者の数で規模が決まっている面もあると思う。会議などの音を聞きながら、文字に起こすというのは特殊能力。これができる人の数で受けられるボリュームが決まっている。そこで、顧客ベースを持っているテープ起こしの会社を買って、われわれの持つ環境を使ってもらう。ほとんどは機械を使って素人の人間で直すことができるようになるので、大きなボリュームをこなすことができる。今いる人にはもう少し高度な仕事に携わってもらう。新しい雇用も生まれる」
ただ、ニーズはあっても初期コストが重いため、音声認識ソフトの導入をあきらめるケースも多いという。それはクラウドを活用することで克服が可能になる。
「クラウドでの従量課金型にすれば、自分で議事録を録音して音声ファイル化して、音声認識サービスを利用し、あとは自分で直すセルフ編集をしてもらう。最初から機械を使わず自分でテープ起こしすることに比べ、これはかなり楽になる。この利用料はたぶん稼げると思う。今はそういう発想もないし、本当にできるのかわからない状況。そういうものができれば利用者が増え、利用料が稼げるような市場ができる。それをつくりたい」
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