10年前の失言がトランプ氏の息の根を止めた 「トランプ女性蔑視発言」に共和党内が大混乱

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Fox Newsより

そのため、トランプ氏はお詫び動画を公開した。

この動画の目的はトランプ氏が自分の問題発言に対して謝罪するためのものであったはずが、話題はすぐにビル・クリントン元大統領の不貞を非難する方向へと向けられた。トランプ氏はその動画内で、9日夜に予定されている第2回大統領選討論会で民主党代表ヒラリー・クリントン氏とのバトルをヒートアップさせることを宣告した。

この騒動が勃発して以来、共和党内は完全に混乱状態にあり、記者達がトランプ氏の側近者達に近づくのが難しくなっている。ニュージャージー州のクリス・クリスティ州知事やルドルフ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長等のトランプ氏と最も近しい指導者らは、指導者はトランプ氏を「トランプ氏らしくさせておけば良い」のだと以前から主張してきた。しかしそれはトランプ氏が批評家や対戦相手に対し感情に任せた発言をすることを許し、国民からの信用を失ってしまうという悲惨な結果となった。

今回問題となっている10年前の動画が出回りだす以前から、世論調査でのトランプ氏への支持は低下してきていた。9月26日に開催されたクリントン氏との最初のテレビ討論会で上手く結果を出すことができなかったためである。

共和党は絶望的な状況に

共和党にとっては、トランプ氏を候補者名簿から外し大統領としてより相応しい人物を候補者としてあげることができれば理想だろう(現在トランプ氏と共に選挙活動をしているインディアナ州のマイク・ペンス州知事が相応しいとの声が上がっている)。しかし、それを可能にする法的な手段はほぼ存在せず、共和党の役員らは怒りと悲しみに溢れかえっている。他の議員らによると、ペンス氏はこの件でトランプ氏への怒りを露わにしているという。ニューヨークの不動産で成功してきた感情に任せてばかり行動する金持ちに政治家としての運命を台無しにされてしまっては困るということだろう。

11月8日に行われる選挙の候補者名簿は、ほとんどの州でもう既に印刷されてしまっている。さらに期日前投票が既に始まっている州も多い。

アメリカという大きな国では、選挙はそれぞれ規制の異なる州単位で行われるため、候補者名簿に名前の載っている候補者以外から共和党員が当選することはどんなに頑張ってもほぼ不可能といえるだろう。

トランプ氏を最後まで公式な候補者としてサポートしていくとしても、選挙目前の今からトランプ氏以外の誰かを推していくとしても、共和党が今回の大統領選挙に勝利する見込みは薄いというのが悲しい現状である。

(記事の英語原文も配信しています)

ピーター・エニス 東洋経済 特約記者(在ニューヨーク)

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Peter Ennis

1987年から東洋経済の特約記者として、おもに日米関係、安全保障に関する記事を執筆。現在、ニューズレター「Dispatch Japan」を発行している

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