大久保で増殖!中国人向け「予備校」の衝撃 日本の大学に入りたい学生が1校で1200人

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そこまでして、どうして……?という疑問が浮かぶが、「どうしても日本の有名大学に入りたい」という中国人の学生やその両親からしてみれば、「安いもの。全然たいした金額ではない」ということらしい。

冒頭で紹介した河南省出身の留学生は、中国の高校を卒業後、中国の大学入学試験(通称、高考〈ガオカオ〉)を受験せず、最初から日本留学を目指して来日した。両親も賛成してくれたという。

「爆買い」ならぬ「爆留学」

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中国の大学入試は、日本のように私立大学があるわけではなく、全国統一の一発試験のみ。滑り止め受験をしたり、AO入試で受験できたり、浪人したりといった柔軟性はない。同校のスタッフによると「最初から“いい大学”に行ける学力がないことがわかっていて、親に経済力もある場合、何も無理して中国国内で大学受験せず、日本やアメリカに留学する道を選択したらいいじゃないか、留学すれば“箔もつく”しカッコいい、と考える人が最近、急増しているんですよ」という。

中国政府の統計を見てみると、確かに近年、日本や欧米への留学生が増えている一方で、国内での「高考」の受験者数は減少しつつある。中国情報サイト「中国教育在線」が2016年6月に発表したデータによると、大学入試の志願者数は08年(1050万人)をピークに減少している。とくに顕著なのは、北京市や江蘇省など都市部の志願者数が減少している点だ。経済力や情報力がある都市部の中国人のほうが、留学志向ということの表れなのかもしれない。

同校のスタッフによると「中国で希望の大学に落ちて絶望し、仕方なく日本に来る学生、中国でいったんは大学に入ったけれど、専攻が自分と合わなかったといって中退してくる学生など、理由はさまざまあります。中国の受験戦争があまりにも厳しいのと比べて、日本の受験は(日本のアニメなどの楽しそうな学園生活の場面をよく見ているので)、けっこう楽勝なんじゃないか、と勘違いして、現実逃避で日本にやってくるという学生もいます。ただ海外に行きたい。どこでもいいから、留学できれば周囲に自慢できると思っている学生もいます。もちろん、甘い考えの学生は、なかなか日本の有名大学には受からないんですけどね……」

日本人にはちょっと衝撃的な内容だが、それだけ人口が多い中国社会は競争が激しく、国内で戦いに勝ち抜いて人より抜きん出ることは難しいということなのだろうか。「爆買い」ならぬ「爆留学」は、日本人があずかり知らないところで、静かに、じわじわと進行している。

中島 恵 ジャーナリスト

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なかじま けい / Kei Nakajima

山梨県生まれ。北京大学、香港中文大学に留学。新聞記者を経て、フリ―に。著書に『なぜ中国人は財布を持たないのか』『中国人エリートは日本人をこう見る』『中国人の誤解 日本人の誤解』(すべて日本経済新聞出版社)、『なぜ中国人は日本のトイレの虜になるのか?』『中国人エリートは日本をめざす』(ともに中央公論新社)、『「爆買い後」、彼らはどこに向かうのか?』(プレジデント社)などがある。

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