日本株、10月相場の「3つの不安要因」とは? 円安転換なら日経平均は1万7000円突破へ

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一方、26日の米大統領選候補者のTV討論会(3回開催のうちの初回)では、初の女性候補と政治経験のない実業家という2人が対峙した。

民主党候補のヒラリー・クリントン前国務長官は「全ての人のための経済構築が必要」「最低賃金引き上げ、利益共有の拡大を」「インフラとリニューアブルへの投資が必要」などと述べた。また、共和党候補のドナルド・トランプ氏は「富裕層は応分の負担必要」「米国から雇用がメキシコなどに流出している」等と発言した。

第1回の討論会の結果は、「クリントン優位」という声が多かったようだ。ただ、クリントン氏は慈善財団の疑惑や健康不安説が響き、トランプ氏との支持率の差は縮小傾向だ。なお、両者とも中国に対し強硬姿勢を示しており、中国の対米輸出が大幅減少するとの懸念から、相場の波乱要因になりかねない。

円高継続でも日本株に約1500円の「底上げ」効果

一方、27日の日経平均株価は1万6683円と大幅反発、前日比で139円高となった。前日の欧米株安の流れを受け、前場は大きく下げたものの、後場に入ると上げに転じた。前出のテレビ討論会でドル安の必要性を強調する発言がなかったことや、円高一服から主力の輸出関連株が買われ、9月の配当狙いの買いも相場全体を押し上げた。

約3カ月前の6月下旬には、英国の欧州連合(EU)離脱が決まり、ドル円は100円割れ、日経平均株価も1万5000円割れとなった。あれから3ヵ月が経過し、ドル円はほぼ同水準で推移しているものの、日経平均株価は1万6500円前後と10%程度も上振れている。価格形成は複合的要因が折り重なるものの、以下の3つが「押し上げ効果」との見方もできる。

① 日銀の上場投資信託(ETF)買い入れ

7月下旬の日銀会合では、ETFの年間買い入れ額を6兆円までほぼ倍増させることを決めた。それまで1回当たり買い入れ額が350億円前後にとどまっていたものの、8月には707億円、9月には733億円と増えている。年間ペースの進捗から買い遅れ感をうかがわせる。一方で、官製市場と化して価格形成をゆがめ、出口の難度を高めるとの指摘もある。

② 売り方の買戻し(踏み上げ)

6月24日の日経平均株価は1万4952円と、前日比1286円も急落した。この日はリスク回避による現物売りと投機筋による空売りも重なった。しかし皮肉にも、その後の日本株は下値が切り上がっている。損失限定の買い戻し(踏み上げ)が押し上げている可能性もありそうだ。

③ 日本企業の「円高抵抗力」

トヨタ自動車は7月以降の想定為替レートを105円から100円に修正した。9月の米FOMCでは米利上げが見送られたものの、ドル円は100円割れに至っていないため、主力の輸出関連株を売り込みづらくなっているようだ。

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以上のことから、テクニカル面からみた日経平均株価は9月第2週のSQ(特別清算指数)値 (1万7011円)や、200日線(1万6820円)が戻りメドとして意識されている。ただ、9月上旬には1万7000円台を3営業日連続で回復した。需給面では売り一巡感が台頭するなか、仮にドル円がジワリと円安方向へ修正した場合、日本株は3つの押し上げ効果が下支え、浮上する可能性がある、と思われる。

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中村 克彦 みずほ証券 シニアテクニカルアナリスト

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なかむら かつひこ / Katsuhiko Nakamura

IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)、日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)評議員。

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