徹底解剖!「カープ男子」を虜にする超魅力 僕たち「カープを愛し続けて」四半世紀以上

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かつての神宮は、当日に思い立って行っても外野チケットが楽に買えたが、最近は人気上昇に伴い来場者数も増え、なかなか買えなくなってしまったという。

実は、カープ戦のホームゲームにおける観客動員数は、新球場がオープンした2009年シーズンに前年比34%増の187万人を記録したが、翌年以降反転。2013年シーズンの156万人で底を打った。だが、ロードゲームでの動員数は、2012年シーズンから2014年まで年間3%ペースで増加。2015年は一気に11%増に。そのロードゲームの伸び率を球場のカード別にみると、神宮の対広島カードは2010年から2015年までの5年間で倍増している(上グラフ)。ほかカードも伸びているが、カープファンの増殖が最も顕著なことがわかる。

櫟本さんは「前売りの優先枠を確保するためにヤクルトのファンクラブに入会し、ヤクルト本社の株主にもなってくれている仲間がいるので、チケットが確保できるのはそのおかげ」だが、「その日に思い立って行ってもチケットが買えず、最近は行けなくなっている」と嘆くファンも多い。

巨人とすべてにおいて真逆である

大の男をここまで引き付けるカープの魅力とは何なのか。3人が口をそろえるのは「スクワットの応援がとにかく楽しい。もうひとつは巨人と真逆なこと」だ。特定の大企業の広告塔ではなく市民が作って育てた市民球団であることは、いまさら言うまでもない。市民球団であるがゆえに、巨額の契約金でスター選手を獲得するということができないので、一から地道に若手を育てる方針である。フリーエージェント宣言をした選手も送り出すことはあっても獲得はしない。

競争はあるがアットホームなチームの雰囲気。若手が萎縮することなく果敢にチャレンジできる環境。守備重視の玄人好みの戦略。25年前の優勝のときは守り勝ったが、今期は守りに攻めが加わった。話を聞いていて、40代のカープ女子が語ったカープの魅力の話を思い出した。

かつて彼女は巨人ファンだったが、巨人が各球団の4番打者とエースピッチャーばかりを高額の報酬で次々と獲得し、その結果、巨人に移籍したスター選手が軒並み出場機会を失っていくのを見て巨人に失望したという。彼女の夫は阪神ファンだったが、選手を自前で育てずメジャー帰りの選手を高額報酬で獲得し始めたのを見て、「巨人化している」と言ってカープファンに転向したという。

櫟本さん、三好さんは、子どもたちもカープファンだが、高見さんは「洗脳に失敗した」と苦笑する。「実際に球場に連れて行ったゲームで、目の前でホームランが2本入った。あれで一気に野球好きになったと思う」と三好さんは振り返る。カープファンは、見ず知らずのファンと喜び合うなど、他球団のファンに比べて「熱い」印象がある。ファンがファンを呼び込む、そんなオープンな雰囲気も、ファンにとってはたまらないのかもしれない。

伊藤 歩 金融ジャーナリスト

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いとう・あゆみ / Ayumi Ito

1962年神奈川県生まれ。ノンバンク、外資系銀行、信用調査機関を経て独立。主要執筆分野は法律と会計だが、球団経営、興行の視点からプロ野球の記事も執筆。著書は『ドケチな広島、クレバーな日ハム、どこまでも特殊な巨人 球団経営がわかればプロ野球がわかる』(星海社新書)、『TOB阻止完全対策マニュアル』(ZAITEN Books)、『優良中古マンション 不都合な真実』(東洋経済新報社)『最新 弁護士業界大研究』(産学社)など。

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