安城工場が操業を開始したのは、東海道新幹線が開業してまもない1967年のこと。現在は、セロテープをはじめとする文房具・事務用品をおもに生産している。
新幹線から見ても、相当に巨大なこの看板。地上から見上げたら、さぞ迫力があるだろうと、一度三河安城を訪れたことがある。ところが、倉庫の周囲には目隠しをするように植樹されており、ほとんど見えないようになっていた。倉庫の大きさ自体「非公開」。見る限り、高さは10メートル以上ありそうだ。
ニチバンによれば、倉庫の壁面が現在のデザインになったのは2000年のこと。東海道新幹線の乗客から見えるように、そして地域の学校向けなどに実施している工場見学の記念撮影スポットとして設置されているそうだ。設置から16年、作家の酒井順子さんも著作の中で紹介するなど、東海道新幹線の名物車窓としてすっかり定着している。
新幹線広告の「お手本」
楽しいのが、その看板デザインだ。セロテープが、なぜかUFOのように宇宙を飛び交っている。これは「地球環境に配慮した製品づくりを推進する当社の基本方針をダイナミックにビジュアル化」(ニチバン広報宣伝室)。確かにダイナミックではあるが、果たしてこの看板を見た人に、そのメッセージは伝わるだろうか。
もっとも、これまで紹介してきた「727cosmetics」「プチプチ」といった看板を見てもわかるように、広告看板は意味が伝わりにくいからこそ、多くの人々の記憶に残ってきた。思わず考えてしまう仲畑氏の名コピーと、「なんだあれは?」と思わせる斬新なデザイン、そして笑ってしまうほどの巨大さ。3拍子揃ったセロテープ看板は、新幹線広告のお手本とも言える存在だ。
夜は24時頃までライトアップしているので、新幹線に乗ったらぜひ気にして見てみよう。「セロテープ」を見るのとほぼ同時に名古屋到着のアナウンスを聞くと、なんだかホッとする。
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