森精機、“マザーマシン"世界一への布石 欧州最大手の独ギルデ社と商号統一へ

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森精機はギルデが実施する第三者割当増資や株主割当を引き受け、今年8~9月をメドに議決権比率を従来の20.7%から最大24.9%まで高める。一方のギルデも森精機への株式持ち分比率を最大10.1%まで引き上げる。両社とも互いの株式保有比率を5%程度高める。

森精機側は「対等な関係を維持する。合併の計画はない」としているが、両社の関係はこれまでとは格段に密接になる。キーワードは「24.9%」だ。従来の森精機のギルデ株の保有比率だと、欧州の独占禁止法では両社は競争関係にあるとみなされ、経営などに関する両者間の情報共有が制限されていた。それを24.9%にまで高めれば、欧州の独禁法上では競争関係がなくなると判断される。

独禁法上の競争関係が消え、協業は一層加速

以前から役員同士の会合は数カ月に一度のペースで持たれていたが、今後は「Joint Committee(共同経営協議会)」という形でほぼ毎月に頻度を増やし情報共有を行う方針だ。両社の協業を一層加速できる条件が整う。

工作機械は日本の「お家芸」ともいわれるが、台湾や韓国などアジア勢も近年確実に追い上げを見せており油断はできない。生産体制と販売網の整備によるグローバルな供給力向上は急務だ。

森精機とギルデの両社は欧州をはじめとして、日本や韓国などアジア各国、米国やメキシコでも販売網をすでに統合している。今年中に中国やロシアでも合弁会社を設立して、販売統合を進める計画だ。生産面ではギルデは欧州や上海の工場で、森精機向けにOEM(相手先ブランドによる生産)供給している。

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