過激派が利用する「子ども自爆犯」の惨状 中東やアフリカで急増している

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西アフリカでは、イスラム過激派ボコ・ハラムが、避難民の子どもたちや少女を誘拐して自爆犯になるよう強制するなど食い物にしている。またイラクとシリアでは、活動家によれば、ISが占領した街の子どもたちを連れ去ったり、あるいは家族ごと自らの支配地域に勧誘し、学校やキャンプ場で子どもたちを洗脳したりしている。

とりわけISは「カリフ国家(預言者ムハンマドの後継者が指導する国家)の子どもたち」部隊を創設しており、子どもが訓練や教育を受けたり、爆破や処刑を実行したりする写真や動画をソーシャルメディアに投稿している。

「この地域全体で、子どもの勧誘は増えている」と、国連児童基金(ユニセフ)の広報官ジュリエット・トウマ氏は語る。「子どもたちがより積極的な役割を果たすようになっている。子どもたちは重火器の使い方について訓練を受けたり、最前線の検問所を受け持ったり、狙撃兵として利用されたりしている。その最たるものが、自爆犯だ」

トルコの結婚式を襲った攻撃犯については、ほとんど公表されていない。エルドアン大統領は21日、自爆犯が12歳から14歳で、ISがおそらく関与していることを明らかにした。

トルコ当局は、武装勢力が現場から遠く離れた場所で、実行犯が知らないうちに、体に爆弾を仕掛けた可能性についても調べている。

この作戦は以前にもイラクで実行されている。何も知らない子どもや精神障害のある成人が爆弾の運び屋として市場や検問所に送られ、自爆した。

10代の新兵

イラク北部キルクークの爆破未遂事件をめぐっては、少年が内務省近くで治安当局に捕まる際に泣き叫んでいた様子を、地元テレビ局の映像や写真が捉えていた。

治安当局は少年が16歳であると発表したが、地元メディアは少年がもっと若いと報じた。少年は、過激派組織が今も支配する要衝都市、モスルの出身。米空爆の支援を受けた、イラク軍とクルド自治政府の治安部隊「ペシュメルガ」は、同市をISから奪還しようとしている。

ISについてイラク政府に助言するアナリストで作家のヒシャム・ハシミ氏は、イラクとシリアにおける戦闘での損失を受け、ISが「天国の若者部隊」を今年復活させたと語る。

ハシミ氏は「自爆任務の勧誘をするには10代の若者が容易だ。彼らが愛する者を失って、苦しんだり、絶望の淵にいたりするときはなおさらだ」と指摘。「彼らは成人男性ほど、注目されないし疑念も持たれない」と同氏は話した。

シリア北部ラッカにあるISの基地から逃げてきた子どもの戦闘員は、武器の使用法や自爆用ベルトの起爆方法について、どのように教わったかを明らかにしている。

米ウエストポイント陸軍士官学校テロリズム対策センターが2月に公表した調査では、子どもを巻き込んだ自爆作戦の数は1年で3倍に増えていた。同調査は、2015年1月から2016年にかけて、子どもや若者の「殉教」に関するISのプロパガンダを調べていた。

同調査書には「心理戦の効果的な形態を示している。つまり、力強さを打ち出し、防衛陣を突き破り、敵兵を心底怖がらせる。ISは、驚くべきほどの勢いで子どもたちや若者を動員している」とある。

4月のユニセフ報告書によると、ナイジェリア北東部では、子どもの自爆犯を巻き込んだ攻撃が、2014年から今年にかけて4倍に増えた。ナイジェリアと隣国のカメルーン、ニジェール、チャドには、イスラム過激派ボコ・ハラムが拠点を置いている。

3月に爆発物を身につけたまま、カメルーンで拘束された12歳のナイジェリア人少女は、警察の調べに対し、ボコ・ハラムに拉致されたと話した。彼女の住んでいた村はその1年前、ボコ・ハラムに襲撃されていた。

同じユニセフの報告書によると、子どもの攻撃犯の約3分の2が少女だった。西アフリカでは今年前半だけで、子どもの自爆犯は38人に上るという。

「これこそが、この紛争を特徴づける側面の1つだ」。ユニセフの西・中央アフリカ事務所のThierry Delvigne-Jean 氏はこう話した。

(Patrick Markey記者 翻訳:高橋浩祐 編集:伊藤典子)

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