都知事選、最後に笑うのは小池氏か増田氏か 与野党の戦いは、明暗が分かれ悲喜こもごも

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そもそも知事選で中心となるべきは、鳥越氏を擁立した民進党本部だ。ある東京都連の関係者は、「擁立したのが党本部なら、お金を出すのも党本部。我々が中心ではない」と言いきっている。

だが岡田代表は「都知事選の応援には表だって関与したがらない」と言われており、最後の最後にならないと街宣に参加しないと見られていた。実際に28日の会見でも「今回は(鳥越氏を推薦する政党が)4党だし、しかも政党があまり前面に出ない方がいいという面もある」と述べており、29日の新橋駅前での鳥越氏の街宣には参加したものの、その他では鳥越氏とは別に行動。選挙戦最終日である30日も、鳥越氏とともに街宣車に乗ることはないようだ。

一方でラストスパートをかける増田氏の応援に、安倍晋三首相が入るのかが注目されている。先週末の情勢調査ではトップを走る小池氏に猛烈に迫っているとされた増田氏だが、首相が応援に入るとなると確実に勝つことが必要になる。「首相を負け戦に行かせるわけにはいない」からだ。

実際に2014年2月の東京都知事選では、安倍首相は投票日1週間前の日曜日に舛添候補(当時)とともに街宣車に乗り、舛添氏の勝利を導いた。また自民党と公明党が推薦した小鑓隆史候補が落選した2014年7月の滋賀県知事選の最終盤では、安倍首相が多忙なスケジュールを縫って外遊先から関西国際空港に降り立って滋賀入りすることが検討されたが、情勢分析の結果を見てとりやめになっている。

今回の東京都知事選では、安倍首相が7月26日に増田氏を応援する動画を公開したため、「これで応援は足りている」とする説もある。

執筆段階では、安倍首相が増田氏とともに街宣車に乗るかどうかは「未定」となっている。「全ては情勢次第で、見極めている状態。いちおう“スペシャルゲスト”という枠を作り、安倍首相に来てもらない場合は、他の有名人に登場してもらうなど臨機応変にやっていくつもりだ」と増田選対のスタッフは話している。

安倍首相が増田氏とともに街宣車に乗れば、小池氏にとって大きな脅威になるはずだ。しかし小池氏は逆境をチャンスに変える知恵としたたかさを持っている。

「薄化粧で参りました」

26日に石原慎太郎元都知事が小池氏を「大年増の厚化粧」と揶揄したが、その翌日の街宣で小池氏は「薄化粧で参りました」と冗談でもって吹き飛ばした。また28日にはテレビ番組でこのことについてとりあげられると、「私は顔に痣があるので、医療用のものを使っているが、それを多分ご存じない。そういう面では女心というか、痣のある方にはどうなのかと」と述べ、アンダードッグ効果(判官びいき効果)を最大限に生かすことに成功している。

海の向こうの米国では民主党のヒラリー・クリントン氏が自身が女性であることを強調した指名受託演説を行い「女性の時代」を印象付けている。29日にはテレビや新聞でこれが盛んに報じられた。これは小池氏にとって追い風といえるだろう。

増田氏にとっては、やはり厳しい。こうした状況から自民党担当記者の中には「最終的に安倍首相が街宣に参加するだろう」と見る向きもある。「茂木選対委員長は『安倍首相は増田氏の街宣には参加しない』と言っているが、あれは茂木氏には珍しく泥を被っていると見るべきではないか。早々に『安倍首相が応援に入る』と明らかにすれば小池陣営がどんな対策をしてくるかわからないから、撹乱させているのだろう」。

その背景として囁かれるのは、8月3日に予定される内閣改造だ。今回の内閣改造では人事が大きく変えられると見込まれており、党の人事も当然少なからず影響を受ける。選対委員長として参院選での自民党勝利を導いた茂木氏にとって、都知事選で勝利することは出世の決め手となる大事なポイントだ。

いよいよ30日は都知事選最終日。各陣営はどのようなアピールを行うのか、各陣営の“最終兵器”は何なのか。いずれにしろ31日深夜に東京都の新しいリーダーが誕生する。
 

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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