事実!仕事人生は「体力」で差がついていく できる人は能力、気力だけに頼らない

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では、働き盛りのビジネスパーソンが22時半に就寝するにはどうするか。「22時30分に寝るというところから、1日のスケジュールを逆算する」のです。

たとえば、22時30分に寝るには、20時には食事を済ませたい。そうすると、家には19時には着いていなければならず、会社は18時に出る必要がある。残業をしている暇はない。その時間に終わるよう、効率よく仕事を進める必要がある――こんな具合に考えるのです。「早く寝るために、残業をまったくしないなんて、ビジネスマンとしては本末転倒だ」と思われる方は、仕事力の三角形を思い出してください。すべての土台は「体」なのです。

良い睡眠は「300ドルの得」

あなたに足りないのは「気力」ではなく、「体力」だ――仕事を「体」から問い直すと、できることが格段に増える!成果も上がる。社長時代に「1日8時間寝る」ことを自らに課していた著者のカラダ資本論。 上の画像をクリックするとアマゾンのページにジャンプします。

「そんなことができるのは、社長だからでしょう」と思われるかもしれませんが、しかし、時代は変化しつつあります。たとえば米国には、睡眠時間の長い社員にボーナスを支払う企業があるのです。その企業では、年間300ドルという上限はあるものの、「20日間連続して7時間以上寝ている従業員には、25ドルのボーナスを支払う」のです。

これは、企業は適度に社員を休ませたいと考えているからですし、適度な休みで体力を回復しストレスを発散することが仕事の効率、ひいては会社の業績を格段に上げることをこの企業は知っているのです。

私はこれまでにビジネス関連の著書を何十冊か書いてきて、そこでは「すべての仕事にデッドラインを」「徹底的な効率化を図れ」「飲み会は1次会で切り上げろ」などと主張してきました。それは、経営者としてそのほうが会社の効率が高められると考えたからでもあり、一人の人間としても、そのほうが自然だと思っていたからです。極論すれば、すべては「良く寝る時間を確保するため」だったともいえます。

みなさんの勤める会社にはまだ「睡眠と連動したボーナス制度」はないかもしれませんが、しかし、まずは1週間だけでも「22時30分に寝て、8時間眠る」という生活を試してみてください。すると、冒頭に書いたような「仕事が山積みでも、やる気が出ない」「仕事に取りかかるまでに時間がかかる」などということは、自然となくなるはずです。ストレスも感じなくなり、前向きに仕事に取りかかれるようにもなります。そして、体を考えることは仕事を考えることなのだと、実感できるはずです。

「そうは言っても……」と頭の中で言い訳を始めた方に、最後にメッセージがあります。

「ビジネスマンとしての実行力は、『就寝時』にも試されています」

吉越 浩一郎 吉越事務所代表

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よしこし こういちろう

1947年千葉県生まれ。ドイツ・ハイデルベルク大学留学後、上智大学外国語学部ドイツ語学科卒業。極東ドイツ農産物振興会、メリタジャパン、メリタカフェを経て、83年にトリンプ・インターナショナル(香港)に入社。87年にトリンプ・インターナショナル・ジャパンの代表取締役副社長、92年に同社の代表取締役社長に就任。代表取締役在任中に19期連続増収増益を達成。2004年に「平成の名経営者100人」(日本経済新聞社)の1人に選出される。06年に退任し、現在は、吉越事務所代表。経営コンサルティング、執筆、講演を中心に活躍している。
著書に、ベストセラーとなった『デッドライン仕事術』(祥伝社)や『仕事ができる社員、できない社員』(三笠書房)など多数がある。

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